「糖質を摂らない『糖質抜きダイエット』がはやっていますが、そういったダイエットをすると、必ずといっていいほど、リバウンドしてしまいます。『一生続けられる』ものではないと、体形の維持はできません」
こう話すのは、監修書に『筋肉をつくる食事・栄養パーフェクト事典』(ナツメ社)がある管理栄養士の竹並恵里さんだ。
人は生きていくために、エネルギーを必要とする。そのエネルギーの単位がカロリーだ。人は主に飲食を通じてカロリーを摂取し、生命活動や運動を通じてカロリーを消費している。
基本的に、摂取したカロリーが消費するカロリーを上回れば、余ったカロリーは「脂肪」として体に蓄えられる。逆に下回れば、「脂肪」が消費されてやせることができるのだ。
実際に、ボディビルダーやアスリートなどは、日々の食品のカロリーを厳密にコントロールすることで、減量を行っているのだが……。
「一般の人には『一生続けるのは難しい』。あくまでも、カロリーの値は、ぼんやりとした目安でいいんです」
自分の体がどれだけのカロリーを必要とするか、各食品にどれくらいのカロリーが含まれるかを“ぼんやりと”知っておけば、食べすぎを防いだり、ムダにカロリーの高い食品を選んだりするのを避けることができるのだ。
さらに知っておいてほしいのが、栄養素とカロリーの関係。
「三大栄養素のうち、炭水化物(糖質)とタンパク質は1グラムあたり4キロカロリーなのに比べ、脂質は1グラムあたり9キロカロリーあります」
揚げ物やてんぷら、油の多い調味料の使いすぎなどはオーバーカロリーの原因になるということ。日々の食事で大切なのが、主食、主菜、副菜のバランスだ。
「主食は炭水化物を主に含むご飯やパン、パスタなどです。主菜はタンパク質を多く含む食材で、肉や魚、卵、豆腐、納豆など。副菜は野菜や海藻などのビタミン、ミネラル、食物繊維を含む食品です」
これを1日3食、バランスよく食べることが基本となる。
「大切なのは栄養素で考えることです。じゃがいもを副菜として食べている人も多いですが、栄養からみると主食に近い」
特にタンパク質の量に注意。
「理想は1食で20%以上のタンパク質を摂ること。肉や魚料理を100グラムほど摂れば、だいたい20グラムほどのタンパク質が摂取できます」
主食の食べ方も大切だ。炭水化物に含まれる糖質は、血糖値の急上昇を招いてしまう。
「血管が傷つけられ、さまざまな病気の原因に。タンパク質や脂質など、ほかの栄養素や食物繊維と一緒に摂ると、糖質の吸収が穏やかになりますから、主菜や副菜を食べてから主食を食べましょう。また、白米より玄米、食パンよりライ麦パンなど、精製されていない“色のついた”食品のほうが、食物繊維やミネラルが多く含まれているのでおすすめです」
カロリーを減らしたいときに、まっさきにやめるべきなのが、“甘い飲み物”。
「たとえばコーラには、500ミリリットル中、50グラム以上の糖類(糖質の一種)が含まれる。体にいいイメージのある乳酸菌飲料にも多量の糖類が。こういった“甘い飲料”は糖類以外のものがほとんど含まれていないので、吸収されやすいのです」
同じカロリーを摂るなら、ほかの栄養素が含まれるぶん、ケーキを食べたほうがまだましだという。
老後に役立つのは「筋肉のついた健康的な体」だと竹並さん。極端な食事制限に走らず、適度な運動と正しい食事で、理想の体を目指そう。
「女性自身」2020年3月17日号 掲載