「先日、ある密着番組で嫁さんに電話して、『何か欲しいものある?』って聞いたんやけど、『そんなの、ない』って。しつこく『何かあるんちゃう?』って聞いても、『なんもない』って言うから、演出的にはおもしろくなかったよね」
隣に座る妻のユキさんにそう話しかけるのは、昨年12月、吉本興業主催の若手漫才師コンクール「M-1グランプリ」で史上最高点をたたき出し、頂点に輝いたミルクボーイの駒場孝さん(34)。
フードコーディネーターをしているユキさんは、駒場さんいわく「吹石一恵と恐竜を足して2で割った感じ」で、そのアツアツぶりは今や、持ちネタのひとつになりそうだ。
「私、物欲がないんです。おいしいものを食べて、お酒が飲めて。あとは2人の時間さえあればいい」と言うユキさんだが、M-1優勝以降、その大切な時間が奪われていると嘆く。
「彼女、M-1に対して怒ってましたからね。僕が急に忙しくなって、家に帰れなくなった年明けの1月5日に、『幸せだったアタシたちの時間を返して!』って、めっちゃ泣いたんですよ。その姿を見たら、僕も泣けてしまった」とノロける駒場さんは、2人のなれそめについて続けた。
「初対面から仕事の夢を熱く語るし、すごく気合の入った、酒の強い人だと思いましたね。僕がおごるつもりだったので、飲み放題じゃなかったら、財布が心配になって話に集中できなかったかも」
そんな2人が選ぶ店は、つねに「飲み放題」がお約束。出会いから4年、結婚後も駒場さんは本業で稼げず、スポーツジムのアルバイトで月収6万円ほどだったという。
「彼女の稼ぎで暮らす月もありました。そんなときは僕が彼女の仕事を手伝って、大きな荷物を運んだりして。まわりの人には弟子と思われてたんちゃうかな。2人の間では、忙しいほうの仕事をもうひとりがフォローする、というスタイルなんです。M-1の直前は、彼女が僕の相方のセリフを覚えて、ネタ合わせにずっと付き合ってくれました。優勝を決めたあの“コーンフレーク”ネタ、じつは彼女もそらんじられるんですよ」
現在は、コロナの影響でユキさんの仕事が激減。駒場さんがお返しをする出番が回ってきた。駒場さんに、「豪華な生活になったら変わってしまうのでは?」と話を振ってみるが、「それはないですよ〜」と即答するのはユキさん。
「まず、広い家に越すのは面倒ですもん。今の”DKが広さの限界。これ以上は、掃除が大変になるのでゴメンです」
駒場さんもうなずき、続ける。
「収入が増えても変わらないし、逆にこの先、収入がなくなって『一発屋』と呼ばれるようなことがあっても、それは原点に戻るだけ。M-1で優勝できて、崇拝していた松本人志さんにほめてもらえて……人生最高の記憶を維持して、この先、どんな生活でも満喫して生きていきます」
「女性自身」2020年5月26日号 掲載