コロナウイルス感染拡大でぬぐい去れない収入減への不安……。そんなときは“お金がなくても幸せ”を体験済みの先輩たちに知恵を拝借しましょう。すぐに収入を増やすことは難しいけれど、「すべては気の持ちよう!」と思えたら、しめたものですーー。
「休校中でずっと家にいる娘は、編みぐるみにハマっていて。現代っ子らしくユーチューブで作り方を見ながら作っているので、お金がかかりません。家族全員が“極力お金を使いたくない”似た者同士なので、気が合います(笑)」
そう話すのは、ホラー漫画家のワタナベチヒロさん。現在、日常にひそむ闇を描いたマンガ『お人形さん』をウェブで連載している。
「私の作品は子どもが殺されちゃったりするので、ごめんなさいって思いながら描いています」と話すように、実在の事件をモチーフにドキッとする描写もあるが、当の本人はといえば、ふんわりした癒し系ママさんだ。
「デジタル化が進んだので、ひとりで描いて、紙媒体より締め切りも厳しくないので私向きですね」
そんなワタナベさんは新婚当時、築37年・2K・風呂なし、ネズミの走り回るアパートにつつましく暮らしていた。
出産体験をつづったエッセイ『貧乏まんか家・ママになる!』も出版しているが、「マンガが描けなくなると、世帯収入ゼロ!」を覚悟した夫妻にとって、彼女の妊娠・出産は奇跡的な出来事だった。
高校時代から交際してきた夫に、結婚後「そろそろ子どもを」と考え始めたころ、がんが発覚。治療に成功し克服したものの、骨折がもとで肺塞栓症になり、生死の境をさまよったという。
その後、ワタナベさん自身も2度の流産を乗り越え、やっと子どもを授かったときのうれしさときたら! お金の問題は二の次だった。
「結局、出産前後の年収は100万円程度でした。今も多くありませんが、家族3人、幸せにやっています」
公営住宅で家賃は安く、年収100万円の年でも、なんとか暮らしていけたという。
とはいえ、いざとなると子どもにだけはお金をかけてしまうケースも少なくないが、それもない。
「たくさんの習い事や塾通いといった教育費にばかり使うより、自分たちの収入状況に合わせて、将来のために貯めるほうがいいんじゃない? と思うことはありますね。うちの子は水泳を習っているんですが、区の教室なので、すごく安い。でも、ここだけはお金をかけてあげたい、というポイントはつくっていて、わが家の場合は、それが歯列矯正。あとは、夫婦の老後資金も見すえておきたいと思っています」
「女性自身」2020年5月26日号 掲載