「らっきょうの塩漬け、梅干し、梅の酵素ジュースに豆板醤……。この季節はつくるものがいっぱいあって、毎日が忙しいんですよ」
少女のような、天真爛漫な笑顔で話すのは、今年73歳を迎えた高橋季みさん。千葉県東金市にある一軒家で月に数回、雑穀や発酵食品、季節の食材を使った「つぶっこ楽膳教室」を開き、庭の畑の手入れをしつつ、合間に季節の保存食をつくり、本人いわく“自然と遊びながら”暮らしている。
「昔は当たり前のように、調味料も自宅でつくっていたんですよね。『本朝食鑑』といった書物でも勉強し、しょうゆやみりん風、酢などの調味料、保存食品……できるものはすべて手づくりするようになりました」
そこで、高橋さんがこの時季おすすめの保存食レシピを教えてくれた。
■「塩漬けらっきょう」そのまま食べても、刻んで薬味や調味料にしても
【用意するもの】
ボウル(約3l)、重し(2kg)
【材料/作りやすい分量】
らっきょう… 1kg
自然海塩… 200g
赤唐辛子… 2本
酢… 1カップ
水… 2カップ
【作り方】
(1)らっきょうは茎と根元を切り落とし、ごしごしみがくように洗って薄皮をはがし、水けを切る。赤唐辛子は小口切りにし、種を取る。
(2)ボウルの底に塩を振り、らっきょうに塩をまぶしながら入れる。容器の縁から酢と水をそっと注ぎ、赤唐辛子を加える。重しをのせ、水が上がるまでおく。
(3)らっきょうに水分がかぶるようになったら重しを半分にする。10〜14日で食べられるようになり、1カ月で完全に漬かる。長期保存するときは、消毒したガラスビンに汁ごと移す。
1年後もシャキシャキ感が味わえる。甘酢漬けやしょうゆ漬け、ハーブ漬けにしても。その場合は、水に15〜20分ほどつけて塩を抜いて。
■「トマト塩こうじ」うまみたっぷりのドレッシングやソースに
【材料/作りやすい分量】
トマト水煮(カット)… 50g
米こうじ… 200g
自然海塩… 70g
【作り方】
消毒した保存ビンに米こうじと塩を入れてよく混ぜ合わせ、トマト水煮を加えて混ぜる。ふたをして常温で1日おき、スプーンでかき混ぜる。冷蔵室に移し、1日1回かき混ぜながら1週間おく。冷蔵室で3カ月保存可。
トマト水煮は、つぶしたミニトマトやトマトジュース、完熟トマトソースを使っても。パスタやマリネ、カレーの隠し味としても活用できる。
■「タカキビみそ」おかずみそやひき肉代わりにも使える
タカキビは室町時代に伝来したとされるイネ科の雑穀。炊き上がると赤茶色になり、ひき肉のような独特の歯ごたえと弾力、味わいがある。食物繊維、鉄、亜鉛、ビタミンEなど栄養も豊富。
【材料/作りやすい分量】
タカキビ… 1カップ
長ねぎ… 1本
しょうが… 大さじ2
ごま油… 大さじ1弱
自然海塩… ひとつまみ
A(みそ…大さじ1と1/3、塩こうじ…小さじ1、しょうゆ…小さじ1、純米酒…大さじ1)
コリアンダー… 適宜
【作り方】
(1)タカキビは同量の水に30分ひたす。長ねぎとしょうがはみじん切りにする。
(2)厚手の鍋にごま油、長ねぎ、しょうがを入れ、香りが立つまで弱火で炒める。ひたした水ごとのタカキビ、塩を加え、沸騰したらふたをして12分炊き、火を止めて10分蒸らす。Aを混ぜて煮詰め、仕上がりに好みでコリアンダーを振る。冷蔵室で5日間保存可。
「発酵保存食のおかげか、風邪もひきませんし、カテキンや赤梅酢、柿酢など天然の殺菌作用があるものを食べているので、コロナウイルスだって怖くはありません。敵として闘うのではなく、共存していくつもり。むしろ化学的なもので殺菌することは、人間にとっても有害で危険な気がします」(高橋さん)
「女性自身」2020年7月28日・8月4日合併号 掲載