「闇に光が差すとき、これまで隠されてきた影が浮き彫りになります。コロナ禍による混乱と相まってネガティブな感情が増幅し、絶望感から生きることをリタイヤしてしまう……。芸能界に限らず、今、自死を選ぶ人が増えているのは、そのためです」
そう語るのはスピリチュアル・カウンセラーの並木良和さん。並木さんは幼いころから霊能力を自覚し、高校生のとき霊能者に師事。独立後は、その霊的な感性を生かしたカウンセリングで1万人以上の人生を導いてきた。現在、講演会やラジオ出演などで活躍するかたわら、続々と書籍を出版し、注目を集めている。
並木さんが常に訴えるのは、今、私たちは「闇の時代」から「光の時代」への大きな転換期に生きているということだ。
「お金や物に重きを置く闇の時代とは対照的に、光の時代では精神的な豊かさにスポットライトが当たります。それぞれが幸せと感じることを満喫し、軽やかに生きていける時代になるでしょう。ところが光が差し始めると、暗闇では見えなかったネガティブなものが姿を現します。今まで目を背けていた不安、恐怖、劣等感、人を憎む気持ち……こうした負の感情と対峙せざるを得なくなるのです。それに飲み込まれ闇の時代に残るのか、手放して心豊かに光の時代を生きるのか。その選択が今、私たち一人ひとりに突きつけられています」
光の時代へ向かうための道しるべとなる、“手放し”の作法を並木さんに聞いた。
「もっとも危険なのは、苦難の渦中にあるとき、その状況が永遠に続くと思い込むこと。どんなことにも必ず終わりは訪れる。負のエネルギーに飲み込まれないためには、その意識を強く持ちましょう」
負のエネルギーは、他人との関係の中で生まれやすい。たとえば、相手に見返りを求める行動はネガティブな感情を呼びがちで「世話を焼いたのにお礼がないのは失礼」といったいら立ちはその典型だ。
「与えたぶんを相手から受け取りたいという期待はエゴから出たもの。その声に従い続けるとエゴはより肥大化し、やがて見返りなしに生きられなくなります。謝罪がなければ許さないという頑迷さも同じこと。エゴの声を聞くのをやめ、負の感情を手放しましょう」
問題を抱える家族や友人をなんとかしたいと躍起になるのも、そこには心配という負のエネルギーが働いている。
「心配から『引きこもりの息子を社会復帰させたい』と願う母親がいたとしましょう。その願いは息子の『外に出たくない』という気持ちと綱引きの状態を作り出し、事態を膠着させます。ところが、信頼の気持ちで綱を放すと相手はひっくり返り、自然と行動を起こし始めます。信頼して何もせずに見守る。この“見捨てる勇気”が、状況を好転させるのです」
さらに、他人との関係でもっとも行いがちで、また自分を苦しめるのが「ジャッジする」行為だという。
「人は自分の“正義”をものさしとして物事の善悪を判断していますが、その行為が自分の首を絞めていることに気づいていません。相手の遅刻を責めるなら自分の遅刻も許されず、プレッシャーから苦しむことになります。これは身近な例ですが、世界規模でいえば宗教による対立や戦争も同じこと。ものさしを“正義”という大義名分のもと振りかざし、人を、自分を傷つけているのです。アイデンティティともいえるものさしを手放すことは怖いかもしれません。でも、それがなければ、善悪の判断による葛藤で心が疲弊することもないのです。誰かからジャッジされたときは、その人自身に問題があると考えましょう。遅刻をしたと責める人の中には『遅刻が許せない』という自分へのネガティブな感情があります。それを直接自分に向けるのが怖いから、誰かに投影しているのです。あなたへの攻撃だと受け止めないことが大切です」
「女性自身」2020年12月15日号 掲載