「呼吸器系の病気を選ぶ医師が多いという印象を受けました。たばこが原因となることも多く、喫煙者は要注意です」
常磐病院(福島県)の乳腺外科医・尾崎章彦さんが感想を述べるのは、医師33人を対象に行った“本当に苦しむ病気”アンケートの集計結果についてだ。ナビタスクリニック(東京都)の内科医・久住英二さんはこう見ている。
「予防や治療が困難な病気もありますが、生活習慣の改善や健診でリスクを減らすことができるものもあります。ぜひ健康に留意する機会にしてほしいです」
そんな「本当に苦しむ病気」について、久住さん、尾崎さん、そして小泉小児科医院院長の釜萢敏さんに解説してもらった。
■食道がん
胸部・腹部・頸部の3カ所を一度に手術する食道がんの治療は難易度が高く、肺炎・縫合不全などの合併症も多いとされる。実際に治療を行う医師からは「痛みに苦しむ人がとても多かった」とのコメントが。
「アルコール度数の高いお酒を飲み続ける人や、ヘビースモーカーの高齢者に多い病気です。食道を切除する場合、切除した腸で代用することになります。手術後、体力が落ちて、入退院を繰り返す人も少なくありません」(久住さん)
■頭頸部がん(喉頭がん・咽頭がん・上顎洞がん)
手術により、食事や発声ができなくなることがある頭頸部がん。「上顎洞がんは術後に顔面の変形を生じる場合がある」と治療後の状態に対する精神的苦痛も大きいようだ。
「喉頭がんは空気の通り道にできるがん、咽頭がんは食べものの通り道にできるがん。喉頭がんの原因の95%が喫煙とされています」(久住さん)
「咽頭がん、喉頭がんの手術では、進行したものでは声帯を取ったり、首に呼吸をするための穴をあけることがあります。一方、早期の場合には声帯を温存することも多いです」(尾崎さん)
■脳腫瘍
「腫瘍切除後の“高次脳機能障害”により、言葉がうまくしゃべれなくなることもある」など後遺症がつらいとされる脳腫瘍。脳機能を残すために、あえて対話などをしながら行う“覚醒下手術”が行われる場合も。
「腫瘍ができる位置によって、体が麻痺したり、人格が変わってしまうことも。喫煙もリスクの一つといわれますが、はっきりした原因はわかりません」(久住さん)
■肺がん
末期の呼吸困難が非常につらいとされる肺がん。「痛みをやわらげる治療法はあっても、息苦しさはやわらげられない」のだそう。
「タイプによって症状は違いますが、呼吸の苦しさ、止まらないせきなど、終末期のつらさが著明です。まず、大事なのは禁煙と検診です」(釜萢さん)
「通常の検診などで使用されるレントゲン写真では、早期がんを発見するのは困難。低線量のCTが効果的です」(久住さん)
■糖尿病
失明や下肢切断につながる可能性もある糖尿病。医師によると「食生活や運動で本来防げたかもしれないと後悔する人も多い」という。
「糖尿病で血中の糖分が増えると、血管が傷つきます。目の血管が傷つけば失明、足の血管が傷つけば壊疽を起こしやすくなり、最悪足の切断につながります」(尾崎さん)
「健康診断で糖尿病であるかどうかはわかります。早期に生活習慣を改善すれば、悪化を抑えることは可能です」(久住さん)
自分がつらいだけでなく、家族の負担も大きくなるのが“本当に苦しむ病気”。病気になってしまった人たちの苦しみはとても大きなものだ。しかし、予防できるものや、早期発見で治せるものもある。日ごろの生活習慣を見直しつつ、自治体が実施する検診などは、積極的に利用したい。
「女性自身」2021年1月5日・12日合併号 掲載