「多額の負債を抱えて『夫には言えない』、と悩む人は少なくありません。出費を言いだせず夫婦の不和を呼び、さらにストレスがたまる、というケースもあります」
そう話すのは離婚経験を生かし、カウンセリング的手法で夫婦問題に向き合う弁護士・原口未緒先生。
「コロナ禍で収入が激減し、やむなく借金をしてしまった人も多いです。借入金が膨らみ、完済のめどが立たない場合、基本的な選択肢は以下のようになります。高い金利を再計算し返済計画を立てる『任意整理』。借金の元金も減らせる『個人再生』。全ての返済義務が免責となる『自己破産』です」
これらの手続きを踏み、免責を受けると一定期間、借金ができないなどの制約もある。
「救済のための法律ですから、悲観しないで。ただ、一時的に借金を清算しても、根本原因は解決しないといけません。第三者に相談すれば道は開けます。一人で抱え込まないでくださいね」
そんな「コロナ禍借金」について、原口先生が実例をもとにアドバイスをしてくれた。
■無職になった息子がコロナ鬱に。息子のゲーム課金の支払いが追い付きません
コロナの影響で息子(30歳)が会社をリストラされてしまいました。以来、ひきこもっていて、ネットのゲームの課金システムで毎月何万円も浪費し、夫に知られると激怒されるので、私が内緒で補填していました。そのうちに私のへそくりは底をつき、1年間で100万円もキャッシング(リボ払い・金利16%)してしまい、いつまで払えばよいのか。どうやら息子は「コロナ鬱」になっているようで先日受診はしました。ゲームはやめるよう言っても通じません。どうしたらいいのでしょう?(もうすぐ60歳・専業主婦)
【回答】「一人で悩まないで」
私もかつてひきこもりの息子さんが両親に対する傷害罪で起訴された際の、弁護人を務めたことがあります。しかし非常に難しい問題ですから、お母さんが一人で抱え込み、なんとかしようとするのは無理です。
まずはひきこもりの支援団体に相談する。必要があればメンタルクリニックを受診する、もしくはお母さんがお金を出さないことで、息子さんが暴れたりするなら警察に通報しましょう。
荒療治と思われるでしょうが毅然とした対応も必要です。そうすると第三者からお父さんに事情を伝えてもらえます。父親に内緒にすることで事態を悪化させます。親子3人で抱え込むのもいけません。
いまはゲーム依存も「ゲーム障害」という精神疾患のひとつとされています。第三者の介入により支援者ができることで息子さんを依存症回復プログラムなどにつなげ、仲間づくりもできます。早期に回復すれば、コロナが終息したら再就職の可能性もあります。
借金問題ですが、この金額ならコツコツ返済も可能ですし、お父さんに伝わったなら、利息がもったいないから一括返済してしまってもいいかもしれません。(原口先生)
「女性自身」2021年4月6日号 掲載