「子どもが生まれたとき、万一に備えて保険金額2,000万円の『定期保険(死亡保険)』に加入しましたが、つい最近、子どもが独立し、学費の心配もなくなったので解約しました。保険はライフイベントごとに見直すべきものなのです」
こう話すのは、1児の母で、保険に詳しいファイナンシャルプランナーの横川由理さん(59)。長生きリスクや収入減、がんや認知症になったら……あらゆる不安に備えようとして、保険に入りすぎている人が多いという。
「保険には『入るべきタイミング』があり、家族構成やライフイベントで必要な保障は変化していく。適切なタイミングで保険に入り、時期がきたら保障内容を減額して保険料を下げたり、解約していく必要があります」
保険を減らせば、保険料を貯蓄にまわすこともできる。そこで、横川さんに「入るべき保険と見直しタイミング」を教えてもらった。
【〜60歳】現役世代の保険見直し
住宅を購入したタイミングで見直したいのが、定期保険だ。
「ローンを組むと団体信用生命保険に加入しますので、保障内容を見直して保険料を減らせます」(横川さん・以下同)
年齢を重ねるにつれて増してくるがんのリスクについても考えたい。横川さんは50代前半で「がん保険」に加入した。
「健康保険の対象外で、全額自己負担となってしまう自由診療の費用も補償する保険がおすすめ。私自身もお金で治療を諦めるということがないように加入しました」
老後の生活資金の備えも気になるが、金利の低い時代は「個人年金保険」や「終身保険(死亡保険)」など、貯蓄型の商品で資金を増やすのは難しい。
「それより確定拠出年金(iDeCo)を活用すれば、所得控除があり節税効果も期待できます」
子どもが独立したときも、保険の見直しのチャンス。
「子どもの学費のリスクがなくなるので、収入保障保険を残し、定期保険は減額するか
解約してもOKです。このタイミングで保険も子どもへの保障から自分たちの長生きリスクに備えましょう」
【60歳〜】老後の保険プラン
年金生活のスタートも保険の見直しのタイミングとなる。
「収入保障保険は60歳で満了を迎えることが多いです。専業主婦の方の場合、夫がサラリーマンなどで厚生年金の受給対象者なのか、自営業者などで国民年金だけなのかで、夫の死亡時のリスクが変わってきます」
また、70歳になれば医療費の自己負担率が下がるので医療保険の必要性も大きく減りそうだ。個人の考え方にもよるが、がん保険は継続してもいい。
最後に横川さんは、こうアドバイスをくれた。
「『保険に入っていないと不安』という方もいますが、年をとってくると、保険で備え
ないといけない事柄は少なくなっていきます。それに、保険に入りすぎて家計が苦しくなったら意味がありません。入る保険、入る時期を見極めて、豊かな生活を目指してください」
万が一にムダなく備えよう。
「女性自身」2021年4月20日号 掲載