支払い方法が増えた昨今、便利なのはうれしいけれど、家計の把握が大変! 忘れていた引き落としに慌てたことがある人は少なくない。そんな、現代ならではのお悩みに専門家が回答! ルールを守れば家計管理もばっちりだ――。
クレジットカード(以下、クレカ)や電子マネー、スマホ決済などキャッシュレス決済はとても便利だが、使いすぎの心配や家計管理に悩む人も多い。
「キャッシュレス決済が増えても、家計管理の基本は変わりません。大切なのは使い分けや予算などの“ルール”を決めることです」
こう語るのはファイナンシャル・プランナーの坂本綾子さんだ。
「ですが、時代に合ったルールの見直しも大切です。たとえば現金払いなら食費や日用品費といった『費目ごと』の予算でしたが、キャッシュレス時代は『決済手段ごと』にしたほうがわかりやすい。そんな新ルールを決め、きちんと守れば、お金の不安を手放せますよ」(坂本さん・以下同)
そこで、坂本さんがキャッシュレス時代の新ルールを伝授!
【ルール1】生活費口座は1つに
「給料が振り込まれるのはA銀行だけど、クレジットカードはB銀行から引き落とし」など、決済ごとに銀行口座が違うと、A銀行からB銀行への預け替えが必要だ。
「光熱水費やクレカ、スマホ決済など生活費関連の支出はすべて、『1つの口座に』まとめましょう。給料の振込口座が便利です」
確かに、毎月引き落とし日に間に合うように、お金を移動させるのはめんどうだ。
「預け替えは手間ですし、時間外やコンビニATMを利用したとき、引き落とし日に間に合わず振り込んだときなどに手数料がかかり、もったいないです。また、1つの口座にまとめると、通帳1冊に生活費の支出がずらっと並びますから、その通帳が家計簿代わりになって、毎月の収支も一目瞭然です」
【ルール2】使った日、チャージした日に記帳を
電子マネーは前払いで、クレカは後払い。さらに、クレカ(1)の引き落としは毎月27日で、クレカ(2)は毎月5日など支払い日もバラバラ。どう管理すればいい?
「後払いのクレカは、引き落としが翌月以降にずれることもあります。でも、そうした支払い日に関係なく、家計簿には『使った日に書く』をルールにしましょう。また、現金を前もってチャージして使う電子マネーは『チャージした日に記帳』します。チャージの段階ではまだお金を使っていませんが、チャージは使い切り払い戻すことはほぼないでしょう。チャージした日に“使ったもの”と考えると簡単です」
めんどうなのはスマホ決済だが。
「スマホ決済の支払いは、クレカに集約される“後払い型”と、電子マネーのような“前払い型”がほとんどです。家計簿には、後払い型はクレカ同様使った日に、前払い型はチャージした日に、記帳すればよいでしょう」
【ルール3】キャッシュレス決済の使い分けを決める
「キャッシュレス決済はだいたい使うお店や目的が決まっていると思います。Suicaなど交通系の電子マネーは交通費が多いでしょうし、WAONやnanacoなど流通系の電子マネーは使うスーパーが決まっていて、食費や日用品費ですよね」
クレカの使い分けは、決まっていない人が多いのでは……。
「たとえば、クレカ(1)は外食やあまり高くない普段着などに、クレカ(2)は家電の買い換えや値の張るものに使うなどと、決めましょう。すると、クレカ(1)は毎月の生活費に含め、クレカ(2)は特別費としてボーナスから支払うなどと分類できます。使い道が決まると、家計簿につける費目が決まり、管理が簡単になるのです。スマホ決済はおもにコンビニでご飯を買うなら食費に含めてOK。でも“自分へのご褒美”が多い人は、食費と分けて管理すると、出費が見える化され、ご褒美支出を抑えるのに効果的です」
コロナ禍で在宅時間が増えたいまこそ、家計の新ルールを作って、老後の不安を吹き飛ばそう。
「女性自身」2021年6月1日号 掲載