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「今年の夏は急激に暑くなったうえに、コロナ禍で迎えた2度目の夏。これまで以上に熱中症になるリスクが高まっています」

 

そう語るのは、熱中症に詳しい済生会横浜市東部病院・患者支援センター長の谷口英喜先生。

 

消防庁の発表によると、今年6月1日から8月8日までに熱中症で救急搬送された人は3万4,768人にのぼる。これは昨年同時期間の2万1,995人からじつに1.6倍にも増加している。なぜ今年は熱中症リスクが上がっているのだろうか? 谷口先生が解説する。

 

「今年は梅雨入りが早く、汗をかいて体内の熱を発散する機会が少ないまま真夏を迎えました。暑さに体が慣れる『暑熱順化』ができず、急激な気温の上昇に体がついていけない人が多くいます。そして1年以上にわたる外出自粛から運動不足になり、筋肉が衰えている人が少なくありません。体の水分の4割を蓄える筋肉の量が減ると、それだけ熱中症のリスクも高まってしまうのです」

 

熱中症といえば、屋外の蒸し暑い環境で発生する印象が強いが、もっとも多いのは住居で起こるもので、4割以上を占める。

 

「室内で2時間座っているだけでコップ1杯分の水分が失われています。特に女性は男性よりも筋肉量が少ないため、熱中症のリスクが高い。家にいるから大丈夫と思っていたら、熱中症になって倒れてしまう女性も意外と多いのです」(谷口先生・以下同)

 

今年は“家の中”で“気づかないうち”に熱中症になっていて不調を抱える人が増えているという。

 

「頭痛や胃のもたれがあっても、不調を夏バテのせいだと思い、季節が変われば改善するだろうと軽く考えている人がいます。しかし調べてみると、その原因が軽度の熱中症というケースがあるのです」

 

密かに私たちの体に忍び寄る、いわば“ステルス熱中症”が、この夏は増えているという。夏の疲れと見分けるサインはあるのだろうか?

 

「症状は脳、消化器、筋肉の3つの臓器に現れます。これらの臓器は水分が多く、熱中症になりかけるといち早くSOSを発します。頭がボーっとする、頭痛がする、眠くなるなど脳の症状、下痢や便秘など消化器の症状、そして痛みやしびれなど筋肉の症状。これらが重なっている場合は、熱中症の初期段階だと考えていいでしょう」

 

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