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混迷する世界情勢を受けて、高騰し続ける電気とガス代。給与は上がらないなか、負担だけが増していく。家計を守るためには、どうすればいいのか。節約の専門家に聞いた光熱費との闘い方――!

 

光熱費の値上げが止まらない。総務省「家計調査」によると、昨年4月の2人以上世帯の光熱費は電気代1万696円、ガス代5,674円で合わせて1万6,370円だった。

 

今年4月の東京都の電気代、ガス代の一般的な家庭の使用料金である“標準価格”は、昨年同月比のそれぞれ1.28倍、1.26倍に上昇。2人以上の世帯なら、昨年4月より光熱費が4,470円も跳ね上がる計算だ。

 

家庭の省エネエキスパート検定資格を持つファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんが解説する。

 

「原油と天然ガスの価格が高騰しているなか、ロシアのウクライナ侵攻が原油価格を一段と押し上げました。さらに3月16日の地震で福島県にある火力発電所が被災し停止。そのうえ、すべての輸入品価格が上昇する円安傾向で、燃料価格も上がっていく……。電気代とガス代が安くなるようなニュースは見当たりません」

 

家計を守るためには、やはり節電しかない。しかし、どうやって光熱費を下げればいいのだろうか?

 

「春は暖房を使うことが少ないので、ガス代が大きく増えることは考えにくい。光熱費の削減には電気代の節約がカギになります。家庭で消費電力が高いのが照明、エアコン、冷蔵庫、テレビ。春はエアコンを使う機会が少ないので、それ以外の家電の使用法が重要になってきます」

 

そこで、今からすぐにできる光熱費カット術を丸山さんに紹介してもらおう。

 

【照明】LEDにすると、年9,700円の差が

 

家庭内で使う電気使用量のなかで、もっとも大きい割合を占めるのが、じつは照明だ。

 

「こまめに消すことが基本ですが、蛍光灯をLEDに替えるだけで消費電力が半分になります。点灯している時間が長い、リビングや台所の照明をLEDに切り替えると節電効果が特に高いですね。LEDは寿命が長いものの、価格の高さがネック。しかし、安くなる電気代を考えれば、切り替えて3年ほどで十分元が取れるのです」(丸山さん・以下同)

 

8~12畳用を1日18時間点灯する場合、蛍光灯と比べてLEDは年8,242円も電気代が安い。さらに、白熱電球を使った照明器具をLEDに切り替えるだけで年9,700円も電気代が得になる。

 

【掃除機、ドライヤー】使用前の〇〇が大切

 

ちょっとした手間が、大きな節電効果につながる。

 

「たとえば掃除機をかける前に、モップなどで軽く床拭きをしておけば、掃除機の強度は『弱』で十分ですし、かける時間が大幅に減ります」

 

部屋を片付けたり、床を拭いたりしてから掃除機をかけることで年580円の節電効果があるという。

 

ドライヤーの時間も1日5分減らすだけでも年950円トクに。

 

「ドライヤーは『弱・中・強』の3段階で風量が設定できますが、『強』が正解。一気に乾かしたほうが節電になります。さらに100円ショップでも売られている速乾性のある『ヘアドライ手袋』や、マイクロファイバータオル、ドライタオルなどで事前にしっかり水滴を拭き取ることで、さらに稼働時間を短くできます」

 

【洗濯機、トイレ】“自然”の力が節約のカギ

 

「洗濯には消費電力はさほどかかりません。しかし、やりすぎは禁物です。毎日、少量ずつ洗濯をしている人は、洗濯物をまとめて2日に1回の頻度にするだけで、電気代と水道代あわせて、年4,190円も節約できます。洗濯よりも、気をつけるべきは乾燥です。『ヒーター式』の乾燥機は1回の乾燥で50円も電気代を使います。『ヒートポンプ式』なら、その3分の1で済みますが、なるべく自然乾燥にしたいですね。乾きが足りないときだけ、補助的に乾燥機を使うようにすれば、年1万450円の節約になります。また、風呂場の浴室乾燥機は消費電力が多く、1日5時間使うと、3カ月で2万2,500円も電気代がかかります。なるべく使用は控えましょう」

 

トイレの暖房便座を一年中つけっぱなしの家も多いようだ。

 

「この時期は、できれば暖房便座はオフに。100円ショップの便座カバーを付けるだけで、それなりに温かいのでおすすめですよ。便座の温度設定を『中』から『弱』に切り替えるだけでも年700円も節電できます」

 

【電気料金】プランや契約会社の変更も

 

「夜間は、電気代が安いと思い込んで、洗濯・乾燥している人も多いです。しかし一般的な契約なら、電気代はいつ使おうが値段は変わりません。23時から7時の間に電気をよく使う生活スタイルなら、夜間割引のプランに変更することも考えてもいいでしょう」

 

また“新電力”の会社に切り替えるのも手だという。

 

「私は『HISでんき』に切り替えました。『東京電力』より5%安くなる契約です。住んでいる地域で使える新電力会社を探して、乗り換えを検討してみましょう。燃料価格などで、基本料金が変わる市場連動型のプランを一部採用している会社もありますが、世界情勢が不安定で、燃料高騰している今はリスクが高いので避けたほうがいいでしょう。それ以外なら、申し込みさえすれば勝手に切り替わるし、契約している会社が経営破綻したとしても、大手電力会社が電力供給を引き継ぎ、電気が止まる心配もありません」

 

とどまるところを知らない光熱費の高騰は少なくとも夏まで続くという。今すぐできる節約術で、家計をしっかりガードしよう!

 

※節約額は、東京都作成の『家庭の省エネハンドブック2021』参照。金額は年間

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