安かろう悪かろうと思われがちだった「中古家電」のイメージはもはや昔のもの。最近では新品と遜色ない商品を超お得に購入できると、注目度が高まりを見せている。
「10年使用したドラム式全自動洗濯機の調子が悪くなり、壊れる前に新品に買い換えようと家電量販店に行きました。でも値段を見ると20万円以上。この物価高で家計も苦しいので買うのを断念しました。
ところが、たまたま近くのリユース家電店をのぞいてみたら、4年落ちの同タイプの洗濯機が、なんと半額以下の8万円台で売っていたんです。
見た目は新品同様で、2年の保証も付くということで即購入。10万円以上得した気分になりました!」(都内在住の50代主婦)
物価の高騰、相次ぐ値上げラッシュが家計を直撃しているいま、外食や旅行を控え、節約生活を送っている人は少なくないはず。
だが、冷蔵庫や洗濯機、エアコンといった生活家電が、経年劣化で突然壊れてしまったら、すぐに買い換えざるをえない。
そんなときに、いま注目を集めているのが、“リユース(中古)家電”だ。
「最近は、リユースでも高機能の家電をお得に買うことができるようになっています」
こう語るのは、All About「デジタル・家電」ガイドの安蔵靖志さん。
そんなリユース家電の需要は、ここ最近伸びていると、総合リユースショップ「トレジャーファクトリー」広報担当の上間綾乃さんは言う。
「当社で扱う生活家電の販売件数は、前年比10%も増えました。とくにこの夏は、上海のロックダウンや半導体不足の影響で新品の在庫が不足し、リユースエアコンが注目されました。
6月の中古エアコンの販売台数は、前年比90%増と大幅な需要増となったのです」
一昔前には「汚れや傷が多いのでは?」「ちゃんと動くの?」「すぐ壊れるのでは?」といった、マイナスのイメージを抱く人も多くいた。
ところが、いまのリユース家電は、そんなネガティブなイメージを一新! 表面、内部の汚れをきれいに洗浄し、まるで新品のように“再生”されているのだ。
もちろん、年数落ちではあるものの、現在発売中の新製品と同等レベルの商品が、新品の半額以下で買えることから、ファミリー層からも支持されている。
その火付け役となったのは、‘15年から本格的にアウトレット・リユース事業をスタートした、大手家電量販店の「ヤマダデンキ」だ。
「これまでリユース家電の生産台数は年間7万台でした。しかし、今年5月に新たにリユース家電専用の再生工場を立ち上げ、年間18万台の生産体制に拡大しました。‘25年までに新工場を2カ所増やし、年間30万台を達成する見通しです」
こう力説するのは、ヤマダホールディングス経営企画室長で執行役員の清村浩一さん。
新工場には、毎日全国から買い取った製品が約500台集荷されてくるという。
「製品は一品一品すべて人間の手によって分解をして洗浄しています。洗濯槽などの汚れは、自動の高圧洗浄機で行います。だいたい縦型の洗濯機だと、1人で1台を90分ぐらいかけて洗浄します。その工程のなかで1次点検、2次点検、最終点検、といった過程を経て、翌日には、完成した製品を全国に90店舗あるアウトレット・リユース各店に発送します」(清村さん)