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「ついに東京電力も、規制料金の値上げ申請を行いました」

 

そうため息をつくのは、節約アドバイザーの和田由貴さんだ。2022年11月から東北・中国・四国・沖縄・北陸電力が相次いで規制料金の値上げを申請。1月23日に東京電力が、26日には北海道電力も規制料金の値上げの申請をした。申請どおりに値上げが実現すれば、電気代が3割から4割も高くなることになる。

 

値上げの対象である「規制料金」とは、2016年の電力自由化の前から提供されていた電気料金プランのこと。

 

「電力会社は、石炭や天然ガスなど発電の燃料価格の変動を電気料金に反映することが認められています。しかし、『規制料金』の場合、消費者保護の観点から値上げできる上限額が定められていて、変更するには国への申請が必要なのです。東京電力の契約者のおよそ3分の2、約1千万世帯は規制料金が適用されています」(和田さん・以下同)

 

ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響で燃料価格が高騰。それに伴い電力会社は電気料金を上げてきたが、多くの会社で規制料金が上限に達した。燃料の高騰分は電力会社が負担することとなり、その結果、昨年9月の中間決算では大手電力10社中9社が赤字を計上することになった。

 

「これ以上の損害を出さないために、大手電力各社が値上げの申請をするに至ったのです。一方、電力自由化以降、ガスとのセット契約や、新電力会社との契約など電力プランを見直した方は、『自由料金』が適用されています。すでに天井知らずの値上げの真っただ中なのです」

 

天然ガスの高騰の影響を受けているのは電気代だけではない。ガス料金も大きく値上げされている。たとえば東京ガスの標準家庭は、2023年1月分が7035円。1年前の5124円と比べると、1911円、約37%の上昇だ。

 

「光熱費全体が急激に上がっているうえ“10年に1度の寒波”が来て、家計が厳しい方が増えていると思います」

 

こうした状況を受けて国は、2023年1月使用分から電気・ガス料金の補助を行う。電気料金は1kW時あたり7円、ガス料金は1立方メートルあたり30円を補助し、標準家庭では電気料金が月1千610~1千820円、ガスは690~900円の値引きと、2割ほど安くなるという。

 

「3割以上の値上がり中に、2割の補助。もらえることはありがたいものの“焼け石に水”でしょう。また、補助期間は限定的で、9月使用分からは補助が減額され、いずれ撤廃されると見られます。燃料価格の高騰や円安が急に解消することはないですから、節電や節ガスがいちばんの対処法です」

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