「今年10月から、ふるさと納税の返礼品に関するルールが厳格化されます」
そう話すのは、ふるさと納税に詳しい節約アドバイザーの和田由貴さんだ。ふるさと納税とは、故郷や応援したい自治体に寄付を行うこと。限度額以内ならば寄付金の多くは住民税等から控除されるため、自己負担は実質2千円。そのうえ、寄付先から返礼品がもらえるため人気がある。
ふるさと納税の’22年度の寄付総額は約9千654億円と、1兆円に迫る。寄付の総額、件数ともに前年度の約1.2倍と、右肩上がりの成長を続けている(’23年8月1日、総務省発表)。
「ただ、多くの寄付金を集めるために自治体間で過熱する“返礼品競争”が問題になっています」(和田さん、以下同)
たとえば、あるふるさと納税サイトで、返礼品の「米」を検索すると、約3万6千件もヒットする。そのなかから選ばれるために、より安い寄付額で、より多くの量を設定しようという競争が起こるのは当然だろう。
そこで’19年には「返礼品の調達費は寄付額の3割まで」という基準が設けられた。
「このとき、返礼品や送料などを含む“経費”を“寄付額の5割以下”にすることも決まっていましたが、寄付金の受領証明書の送付費用などは、経費に含まれず……。10月からは“すべての経費を含めて寄付額の5割以下”にする厳格なルールに変更されます」
前出の総務省の発表によると、’22年度の経費割合は全国平均で46.8%。見直し後の新ルールを適用すると、約7割の自治体が5割を超過するとの報道もある。 「5割ルールを守るため、自治体は経費を抑えようとしますが、限界があるでしょう。とすると、返礼品の質や量を落とすか、寄付額を上げるしか道はありません。いっぽうで、返礼品競争を勝ち抜かないと寄付を集められませんから、自治体は厳しい決断を迫られていると思います」
当面は様子見をする自治体が多いとの予測もあるが、実は、旧ルールでも経費割合が5割を超えている自治体がある。なかには’19年の基準導入以降ずっと経費が5割超という自治体があり、総務省は今年2月に「改善しなければ制度から除外する可能性がある」という警告書を送っているのだ。
「警告を受けた自治体は、何らかの対策を打つしかないでしょう」
つまり、10月以降は寄付金額に対する返礼品の“コスパ”が低下する可能性があるということ。
「ふるさと納税は例年12月の駆け込みが多いのですが、今年は余裕を持って新ルールに変わる前、9月中にふるさと納税を行いましょう。特に警告を受けている自治体は、返礼品が変わる可能性大。今のうちがおすすめです」
昨今の物価高で、ふるさと納税もふだん使いできる“デカ盛り食品”などに注目が集まる。だが、選び方を間違うと使い勝手がよくないことも。和田さんに、賢い選び方のポイントを聞いた。
【1】デカ盛り肉などは1回で使い切れる量に小分けされているものを。
【2】魚介類は日持ちする干物が◎。
【3】野菜は定期的に届く、少量多品種の詰め合わせが使いやすい。
【4】新米や季節の果物などは、発送時期が選べる予約販売を活用。
【5】収納場所があれば、洗剤やティッシュなどの日用品も狙い目。
ルール改正前の“お得なふるさと納税”で、物価高から家計を守ろう!