金が高騰しています。8月29日、日本で初めて店頭小売価格が1g1万円を超えました。以来1万円超をキープしています(9月8日現在・田中貴金属工業)。
金の価格は’00年前後に1千円を下回る時期がありました。そこから約20年間で、約10倍もの高値になったということです。
金は世界的な価格を反映しますが、世界の金相場が高騰したのは5月初旬。最近は落ち着いていますが、なぜ日本は高いのでしょう。
理由は「円安」です。9月7日には1ドル147円台後半となるなど、厳しい円安が続いています。
金も輸入品ですから、ドルで買い付けて円に換算します。金自体の価格が同じでも、1ドル130円と1ドル145円とでは、日本での価格は大きく変わるのです。
アメリカ金融大手のゴールドマン・サックスは半年後に1ドル155円まで円安が進むと予想しています(’23年8月25日)。となると、金はさらに高騰する可能性も。
「だったら、今のうちに金を買っておこう」と考える人もいるかもしれませんが、金の短期売買はお勧めできません。実物の金は買うときも売るときも、安くはない手数料がかかるからです。
■18金アクセサリーは金相場の75パーセントの価格
どうしても金に投資したい方には、金の価格に連動した値動きをする「金ETF」という投資信託があります。
実物の金より手数料は安めで、1万円以下から投資可能。投資を積み増していけば、実物の金と交換できる金ETFもあります。
とはいえ、円安の進行など為替は予測がつかないもの。金は短期的なもうけを考えず、子孫に残すような長い目で見た資産形成だと考えるほうがよいでしょう。
反対に「金が高いなら、売りたい」という方もいるのでは。自宅にある金を高い時期に売るのはいいと思います。
一般に、純金は24金といい、アクセサリーなどは18金が多いでしょう。18金に含まれる金は24分の18、つまり75パーセントです。18金のアクセサリーなどを買い取ってもらう場合、金自体の価値は金の買取り相場の75パーセント前後になると考えればよいでしょう。
金は鎖などが壊れていても問題なく買い取ってくれます。バブル期に流行した喜平型ネックレスなどは重いので、よい値段がつくでしょう。ご自宅に“埋蔵金”がないか、探してみては。
なかには「金の価格なんて関係ない」という方もいると思います。ただ、金高騰の原因である円安は、ガソリンや小麦など輸入品の価格を押し上げ、物価を高騰させます。
帝国データバンクによると、’22年は2万5千品目以上、’23年は3万品目以上の食品値上げが行われましたが、円安の進行はさらなる値上げにつながりかねません。
円安に国はどう対処するのか。物価高に苦しむ私たちの生活を、どのように支援してくれるのか。今後の政府の動きに注目したいと思います。