( 写真提供:新潟交通〔株〕) 画像を見る

電車、バスなど子供に大人気な乗り物。子供向けの職業・社会体験施設「キッザニア」でも、地下鉄の運転士や運転免許証を取得するための教習体験など乗り物アクティビティが多数揃っている。

 

そんななかSNSで話題を呼んでいるのが、新潟交通が運行する“ある路線バス”だ。きっかけは11月上旬にXで、とあるユーザーが新潟交通のバス内に「こども運転席」があると紹介したこと。

 

投稿された写真には、座席の前にハンドルや道路状況を映し出したモニター画面が設置されていた。子供たちがリアルなバスの運転を体験できるとして、《これは楽しそう!!子供に大人気の席ですね》《これは喜びそう?》と絶賛の声が続々。この投稿のインプレッションは、現在までに410万件を超えている。

 

新潟交通の公式サイトによれば、「こども運転席」が設置されているバスは、今年10月19日から新潟市内のバス路線を走行している「こどもデザインラッピングバス」。約1年間の期間限定だという。

 

■運転士から聞いたエピソードをきっかけに「こどもたちの『特等席』」が誕生

 

子供が喜ぶ画期的な「こども運転席」のアイデアは、いったいどのように生まれたのだろうか? そこで本誌は、新潟交通・乗合バス部に話を聞いた(以下、カッコ内は担当者)。

 

まず「こども運転席」を発案したきっかけは、「現場のバス運転士から聞いた『運転席の後ろの席にこどもが座りたがっていたが、大人が座っていて座れなくて残念そうにしていた』というエピソードからです」とのこと。「すでにバスが好きなこども達のために、またこれからバスに興味を持っていただくためにも、こどもたちの『特等席』を用意してみようと動き出しました」と、教えてくれた。

 

また「こどもデザインラッピングバス」ができた経緯は、新潟市中央区に本社を置く新潟交通の創立80周年と、同市内にある商業エリア「万代シテイ」が50周年を迎えた節目を記念して企画されたという。このバスの特徴は、子供たちから募ったデザインで彩られた車両だ。

 

「県内の小学生を対象としたバスのラッピング面のコンテストを、夏休み期間中に実施しました。グランプリ賞など優秀作品3点を、バスの両側面と後部に施工しております。この企画には新潟市内外79校から698作品が集まり、『こどもたちの創意工夫を表現する良い機会になった』と好評いただきました。その車両に『こども運転席』を搭載しておりますので、見た目でもインパクトを持たせることができ、こどもたちに向けた『特別感』を演出しております」(担当者)

 

では「こども運転席」には、具体的にどのような機能が搭載されているのだろうか?

 

「この車両は前方カメラのリアルタイム映像をモニター画面に映し出しており、誰でも『バス運転士』気分になれるシートとして設置いたしました。速度計などの『計器類』、ドアの開閉など運転士が乗務中に操作する『スイッチ関係』、アクセルやブレーキなどの『操作ペダル』で運転席に似た空間を表現いたしました。

 

ハンドルは設置スペースの関係性と、耐久性や安全性を考慮し、乗用車用のハンドルを固定して設置しております。新人運転士教育の際に使用する『研修車』にはドライブレコーダーの映像を教官が確認できる設備を整えています。その設備からヒントを得て設置に至りました」(担当者)

 

トラブル報告はなし!乗客の声を取り入れた対策も「すべては安全から」

 

実際に子供たちからは好評のようで、「通学でバスをご利用いただいている小学生のみなさまは、喜んで座っていただいていると運転士から聞いております」とのこと。いっぽう、Xでは座席が1つしかないことから“取り合い”などのトラブルを懸念する声もあったが、「トラブルの報告はございません」と問題はなさそうだ。

 

ただ乗客からは、モニター画面を見ることによって乗り物酔いや、万が一事故などがあった場合にショッキングな映像を目にしてしまう恐れを懸念する声があったという。

 

担当者は「モニターをオフにすることはできないかというお声を頂戴しておりますので、モニターのオンオフのスイッチを取り付ける仕様変更を行います(11/10頃を目途に施工)。この車両だから特別にではなく、『すべては安全から』の安全方針を元に運行しています」と、すでに対策を講じていることを明かした。

 

なお「こどもデザインラッピングバス」は点検などがない限り、基本的に土日祝日は運行スケジュールが決まっている(※新潟交通公式サイトにダイヤ掲載)。いっぽう平日は、ダイヤを固定していないとのことから“出会えればラッキー”なバスだという。

 

約1年間の“期間限定バス”とされているが、「SNSなどの反響を受けて延長する予定はあるか?」と問うと、担当者は「反響や耐久性等をみて延長が可能であれば、延長する可能性はございます」と語っていた。

 

ワクワクを体験できる「こども運転席」を機に、バスに興味を持つ子供たちが増えることを願いたい。

 

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出典元:

WEB女性自身

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