「毎日のケアで小顔に」(写真:PIXTA) 画像を見る

「食事や会話、笑うなどの生活習慣、また加齢によって、あごは毎日少しずつズレていきます。さらに、コロナ禍のマスク生活であごのズレはひどくなりました。このまま放っておくと、シワやたるみに加え、顔が長く広くなって四角い大顔になってしまいます」

 

恐ろしい現実を語るのは『90秒あご筋ほぐし』(世界文化社)の著者で、さつま骨格矯正鍼灸整骨院総院長の薩摩宗治さん。

 

あごがズレる悪影響は、顔だけにとどまらないという。

 

「あごがズレると肩甲骨や骨盤でバランスをとろうとし、ゆがみは全身に及びます。見た目は老けるし、肩こり、頭痛、腰痛、ひざ痛も。また、ズレたあごでは唾液が出づらく消化吸収力がダウン。リンパの流れを阻害するため太りやすく、疲れやすくなります」(薩摩さん、以下同)

 

あごのズレは矯正できないの?

 

「あごを覆う筋肉のうち咬筋が顔の安定を支えています。ここを刺激することで、バランスのよいあごが取り戻せます」

 

実は、咬筋は長年2層構造だと思われていたが、’21年12月にスイスの研究者が第3咬筋を発見。第3咬筋は2層の咬筋の留め金のような役割を担う。薩摩さんは以前から第3咬筋のあたりを大切な施術ポイントだと考えていたが、理論が後からついてきた格好だ。

 

「第3咬筋はいちばん奥の歯の横付近にありますが、セルフケアではピンポイントにねらう必要はありません。あご筋を刺激すれば第3咬筋にも効果が及びますし、筋肉を包む筋膜にアプローチするのも大切。細かいことにこだわらず、マッサージを始めましょう」

 

あご筋のケアは次ページのとおり2種類ある。1つは顔の表面からの刺激で、“ぶりっ子”のようにこぶしを奥歯のかみ合わせに当てて刺激するポーズが重要だ。いつでもどこでもできるので、すき間時間に何度も行うのが◎。

 

もう1つは口の中から刺激する方法だが、抵抗を感じる人も……。

 

「口の中から奥歯の横を痛くない程度に刺激します。口中のマッサージの効果はいわば“金塊”級。表面からと口中の両方やっても90秒程度ですから、清潔な手指で毎日行ってください。入浴中がおすすめです」

 

この、あご筋ケアはあごのバランスが整うことに加え、筋膜も刺激できる。すると、ヒアルロン酸やコラーゲン、レチクリン線維など最上級の美容成分の分泌が促進されるそうだ。特にレチクリン線維は胎児に多いコラーゲンで成長因子。老化を食い止める効果が期待できる。

 

「口の中を刺激すると、唾液の分泌も増えます。唾液が増えると口腔細菌や腸内細菌のバランスが整い、免疫力もアップ。更年期以後の女性でも女性ホルモンの分泌が増えるなどいいことばかりです」

 

さまざまな好影響が重なって、顔のシワやたるみ、クマなどが改善するという。わずか90秒、自分の顔をケアする時間を確保しよう。

 

「あごケアを始める日に、自分の顔写真を撮っておいてください。2週間後に写真を比べると、7歳は若返った自分に驚きますよ」

 

人生の後半戦、手をかけた人は若返り、かけない人は老いていく。若々しく健康に暮らしたいなら、いますぐあごのケアを始めよう。

 

【ぶりっ子ポーズケア】

(1)目尻の横に人さし指、中指、薬指を当て上下に動かして10回さする。次に耳の穴の前、上下の奥歯が当たる場所に指を移動させ同様に。
(2)耳の前に人さし指、中指、薬指を当て、圧をかけながら小さく前後に動かして目尻に向かって顔の側面を10回さする。指の位置をずらし、6カ所ほど同様にさする。
(3)両手を軽く握り、「ぶりっ子」のように平らな部分を上下の奥歯が当たる部分に当てる。口を「う」にして、拳を口の中に押し込むように圧をかけながら前後に10回回す。

 

【頬のたるみケア】

(1)左手の人さし指を口の中の右頬骨の下奥に入れ、右手の人さし指は頬の上から押さえる。両手の指の腹で咬筋をしっかり挟むように10秒押す。反対側も同様に。
(2)さきほどの指をキープして咬筋を口の内側と外側から挟んだまま下から上へ持ち上げるように外側に当てた指をぐるぐる回して10秒ほぐす。反対側も同様に。

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