65歳以上の人が年金から毎月天引きされる介護保険料は、3年に1度、各自治体で見直されている。この4月からは改定された基準額に基づいた金額になっている。
厚生労働省が5月14日に発表した2024~2026年度の基準額の全国平均は、前回から211円も増えて月6225円。介護保険制度が始まった2000年度の月額2911円と比べると2倍強に!
介護保険制度に詳しい淑徳大学の結城康博教授が解説する。
「介護保険制度では利用者1割、残りの9割の半分が税金で、もう半分が介護保険料でまかなわれています。介護職員の人手が足りないなか、介護サービスを利用する高齢者が増えているため介護保険料が押し上げられます。物価高で年金額が目減りしていくなか月6000円以上の負担は大きく、高齢者の暮らしは厳しくなるでしょう」
さらに都道府県別の平均月額では、もっとも高い大阪府は7486円。もっとも安い山口県(5568円)の約1.3倍。年約9万円支払う大阪府民と山口県民との差は、年約2万3000円もある。
日本一基準額が高かった大阪市(9249円)の担当者が語る。
「ひとり暮らしの高齢者が多く、家族に頼れないことから訪問介護などのサービスを利用する機会が多いことが基準額を高くせざるをえない要因です」
大阪府を人ごととして見ないほうがいいと、結城教授がこう語る。
「介護サービスを充実させるため保険料が高い自治体もあれば、保険料が安くてもサービスの実態が見合っていないところも。2040年には基準額の全国平均が月9000円になる推計もあります。自治体が率先して住民の健康作りなどして要介護者を減らすことが重要です」
介護予防につとめよう!