「腰が痛い」「重だるい」といった悩みを抱える人は多い。
健康運動指導士で『イラストでわかる 肩・腰・ひざの痛みが消える日常動作大図鑑』(ダイヤモンド社)の著者、植森美緒さんも、かつては腰痛に苦しむ一人だった。無理な運動がたたって椎間板ヘルニアを経験したという。
「当時は何をしてもあまり回復せず、痛すぎて不安な毎日でした。でもあるとき、痛みが楽になる“動作”を偶然見つけたのです」(植森さん、以下同)
その動作とは、腰痛用コルセットをはずした後も、つけているときと同じように「お腹をへこませる」こと。痛みが楽になり、しばらく続けていると腰痛を忘れる日々が戻ったそうだ。
それから植森さんは、日常動作を考え始めた。さまざまな動作が体に負担を強いていて、負担の蓄積がだるさや痛みとなって現れていた。
だとしたら「体に負担をかけない動作を行えば痛みは出ない。負担をかけない動きを続けていれば、痛みから解放される」のではと思いついた。
体に負担がかかる原因は、何なのだろう。
「痛みの9割は、頭に原因があります。というのも、人間の頭は6kgとかなり重い。前かがみの姿勢など頭が前に傾くと、バランスをとるため背面に負荷がかかり、腰痛が起きるのです」
魚肉ソーセージを立てた状態で、頭にあたる上部を前かがみに曲げていくと、背面側の肩や背中、腰にあたる部分が裂けてしまう。体への負担もこれと同じだ。
「負担を減らすには、頭を正しいポジションで支えるといいのですが、わかりづらいでしょう。もっと具体的に、腰への負担を抑えるポイントを2つ考えました」