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何度もトイレに行きたくなる頻尿や、排尿時の痛みや違和感、尿の濁り、残尿感といった症状を伴う膀胱炎は、一般的にトイレを我慢しすぎたり、免疫力が落ちたりすることで発症する。

 

特に閉経後の女性は何度も膀胱炎を繰り返す「反復性膀胱炎」という病態になりやすいという。

 

今年6月、岡山大学病院泌尿器科の感染症研究グループが発表した「繰り返す膀胱炎は膣に定着した大腸菌が原因」という研究結果が話題を呼んでいる。

 

「閉経後の女性は、ホルモンバランスの影響で膣内の乳酸菌が減少し、細菌がすみつきやすい環境になっています。特に、膀胱炎の原因となる大腸菌が直腸から膣に移行して定着してしまうと、膀胱炎が治りにくくなります。

 

今回、私たちの病院の患者さんに協力してもらい、尿の中と膣の中にいる大腸菌を調べたところ、同一であることが確認されました。

 

反復性膀胱炎にならないためには、膣内に定着した大腸菌を標的にすることが大切だということがわかり公表しました」

 

そう解説するのは、同病院泌尿器科の研究チーフである定平卓也助教。

 

一般的に、膀胱炎の治療には抗菌薬による投薬治療が行われるが、同病院では、膣の自浄作用の低下を回復させる女性ホルモン剤や独自に開発した乳酸菌膣坐剤の投与で治療できるケースもあるという。

 

「抗菌薬を服用し続けると耐性菌が出やすくなり、薬が効かなくなるといったケースが報告されています。生涯のうち女性の2人に1人は膀胱炎にかかるといわれていますので、再発防止のためにも膣内の環境をよくすることが大事となってきます」(定平助教、以下同)

 

■排便後の洗浄で細菌が飛び散る可能性もある

 

投薬治療だけでなく、ふだんの生活で「膀胱炎になりやすい」習慣がある。患者には行動療法もあわせて指導することが多いという。そこで、定平助教がいつも、患者に伝えている「NG習慣」を教えてもらった。

 

【1】水分摂取量が少ない

 

大量に汗をかき、水分を取らなければ5時間程度、尿が出ないこともあるそうだ。

 

「膀胱内や尿道に細菌が長時間とどまることにつながりますので、膀胱炎のリスクが高まります。排尿の回数を増やして細菌を体の外に排出することが大事です。1日で5~6回しか排尿しない人は、7~8回ぐらいになるようペットボトル1本分(50ミリリットル)をプラスして飲むようにしてください」

 

【2】排尿後トイレットペーパーでゴシゴシふく

 

排尿後、トイレットペーパーでゴシゴシこすると、デリケートゾーンの皮膚を傷つけてしまう。

 

「こすると細菌が尿道のほうに入ってしまうので、ポン、ポンと軽く押す程度で、尿を拭き取ることをお勧めしています」

 

【3】排便後に後ろから前に拭く

 

トイレ後のお尻の拭き方と尿路感染症の関連についての科学的根拠はないものの、女性の尿道は短いため、便に含まれる大腸菌などの病原体が尿道をつたい膀胱に入り込みやすいと考えられている。

 

「後ろから前に拭くのではなく、前から後ろに拭く。ちょっと難しいかもしれませんが、背中側に手をまわして拭く。その際、こするのではなく押さえるように拭き取るのが基本です」

 

【4】排便後に温水洗浄で20秒以上洗う

 

トイレのメーカーなどで構成される「日本レストルーム工業会」の研究では「温水洗浄便座と尿路感染症の因果関係は認められなかった」としたうえで、「お尻・ビデとも洗浄時間は10~20秒を目安にご使用ください」とHP内で使い方を注意喚起している。

 

「排便後に直接、お尻にシャワーを当てますと、大腸菌などの細菌を含んだ飛沫が飛び散るので、尿道や膣内に入り込んでしまう恐れがあります。一度、体内にすみ着いた細菌は体の奥へと入り込んでいく性質があるので、膀胱炎から腎盂腎炎になる恐れがあります」

 

どうしても使いたい人は、回数を減らして使用する時間を短くするなどでもいいという。

 

【5】膣内洗浄(ビデ)を使いすぎる

 

「清潔に保ちたいと、排便後だけでなく排尿のたびにビデで洗う人もいるのですが、常在菌まで流してしまうので、生理がなければ使わないほうがいいでしょう」

 

膣内に大腸菌が定着していると、ビデにより大腸菌が飛散して、膀胱炎を発症しやすくなる可能性がある。

 

【6】性行為の後トイレに行かない

 

性交渉が原因で膀胱炎になる人は意外と多く、尿道にわずかなダメージを受けるとそこに細菌が入り込む可能性がある。

 

「予防するためには性交渉の後にはしっかりと排尿して細菌を体外へ排出するようにしましょう」

 

【7】尿もれパッドをこまめに取り替えない

 

「なかには『1日に一度取り替えるだけ』という患者さんもいるのですが、細菌が繁殖するリスクが高まるのでこまめに交換して汚れのついてない状態を維持してください」

 

一度膀胱炎になった人や、閉経後の中高年女性は、反復性膀胱炎のリスクを軽減できる可能性があるのでNG習慣を改めて健康をキープしよう。

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