(写真:Luce/PIXTA) 画像を見る

「9月24日、日本では2例目となる認知症薬『ドナネマブ』が承認されました。認知症の7割を占めるアルツハイマー病治療薬で、軽度認知症や、MCI(軽度認知障害)への投与で、症状の進行を29%遅らせるというデータもあります」(医療ジャーナリスト)

 

新薬への期待は高まるばかりだが、そもそも大事なのは、早期段階のMCIに気づくことだと言うのは、『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』(アスコム)などの著書がある、メモリークリニックお茶の水院長の朝田隆さんだ。

 

「認知症になる人は、必ずMCIという“認知症グレーゾーン”を通過します。しかし、適切に対応すれば認知症への進行を遅らせることが可能。4人に1人は健常な脳にUターンできるのです」(朝田さん、以下同)

 

医学誌『ランセット』の報告によれば、異変を感じてから専門医療機関を受診するまでの期間は平均4年だという。多くの人が自分の症状に見て見ぬふりをし、その間に約半数が認知症に進行してしまっているのが現状だ。

 

だからこそ利用したいのが、朝田さんが作成したチェックリスト。最近増えたと思う項目が3つ以上あれば、MCIの可能性がある。

 

「もの忘れを“年のせい”と流してしまう人も多いです。ですが、単なる老化とMCIは違います。自分では気づきにくい部分もあるので、家族の目も重要です。MCIになると、実は記憶力よりも先に意欲が低下する傾向があります。『まあいいか』『めんどくさい』というセリフは要注意です」

 

ではMCIと診断された場合、健康な脳へUターンするために、生活面ではどのようなことを意識しておけばいいのだろうか。

 

「幸福感のドーパミン、癒しのセロトニン、愛情のオキシトシンといった、脳内ホルモンの分泌を活発化させること。わくわくに満ちた生活を送るよう、5つのポイントを意識してください」

 

まずは「挑戦」。今までやってこなかった習慣にトライすることが重要だ。

 

「心がけたいのは“年がいもない”と思わないこと。年のせい、とさまざまなことを我慢すると、脳への刺激が減ってしまいます」

 

女性の場合、もっとも手軽に挑戦しやすいのはファッションやヘアメークだ。

 

「周囲の目を気にするより、自分が着たいスタイルに挑戦してわくわくしてください。“若いコが多い”と入りにくかったスイーツのお店に挑戦してもいいでしょう」

 

次に意識したいのが「変化」、“いつもの”から脱することだ。

 

「夕飯の支度をする際、いつもとは違う隣町のスーパーで買い物してみてもいいでしょう。新鮮な気持ちで店内を回り、目新しい調味料を手に取ってみるのも変化。料理は、切ったり、焼いたり、2つ以上の作業を同時進行するデュアルタスクなので、脳の活性化に有効です」

 

感動を伴う新鮮な体験も心がけたいところ。

 

「外出先で、道行く人に聞いたレストランに入ってみることも、日常の変化を体験できます。ただ、行列店はおすすめしません。おいしいことが予想されるので、感動が少なくなるためです」

 

次ページ >孤独回避のために ゲーセンやファミレスへ

【関連画像】

関連カテゴリー: