「今年は夏の猛暑、秋の雨不足の影響で野菜の作柄が悪く、今も高値が続いています。そのうえ、正月前にはさらに10~20%の値上げがあります」
そう話すのはスーパーマルサン越谷花田店の店長、八木栄樹さん。
現在、キャベツは平年比で約3倍、正月に欠かせない大根や白菜は約2倍とすでに“暴騰”状態(12月17日、農林水産省のデータより)だがーー。
「今、平年並みの価格なのはじゃがいもに玉ねぎ、れんこんくらいです。ただれんこんは正月食材ですから、正月前にはぐっと上がります」
東京都足立区にある、スーパーさんようの社長、新妻洋三さんも野菜の高騰ぶりをそう語る。肉や魚はどうだろう。
「全体的に高値です。ブリが豊漁という報道もありますが、価格的には平年並みです。安いものは見当たりません」(新妻社長)
肉や魚は輸入品も多く、燃料費の高騰、人件費の高騰、円安のトリプルパンチに加え、今年はドライバーが不足する“2024年問題”の影響も大きい。価格は上がるいっぽうだという。
■おせちの材料は早めに買うのが吉
「おせち商品やかまぼこなどは、当店では例年並みの価格で並べるつもりです。ただそれは、スーパーや業者が利益を削ってのこと。本当に厳しい正月商戦になりそうです」(八木店長)
家計はすでに火の車という人も多いだろう。そこで今回は、年末年始、少しでもお得に、また損をせずに買い物をする方法を2人の現役店長に特別に教えてもらった。
まずは年末年始の行事に向けての情報だ。スーパーは、クリスマスが終わった途端、正月モードに切り替わる。かまぼこやおせち品が冷蔵品の棚を占拠し、八つ頭や金時にんじんといった、この時季にしかお目にかからない野菜が勢ぞろい。
「今年は里芋や八つ頭が不作で、品薄状態です。『もう少し安くなるだろう』と安値を待っていると、販売終了になる可能性も。毎年食べていて絶対に欲しいものは、27日までに買っておくと安心でしょう」(新妻社長)
おせち商品では、昆布が不漁のために「昆布巻き」が、魚の価格高騰により「佃煮(田作り)」が、例年より割高で入荷量も少ないという。
「記憶にある“去年の価格”と比べると、今年は全部高値で何も買えなくなります。入荷量の少ない昆布巻きや佃煮なども、欲しい人はお早めに」(八木店長)
日持ちする根菜類や塩漬けの数の子、エビやカニなどの冷凍品、冷凍できる野菜など、長期保存が可能なものは、早めの特売を見逃さずにゲットしよう。
そんななか、2人の店長が口をそろえて狙い目だと話す日がある。ズバリ「12月30日」だ。
「今年は働き方改革もあって『1月3日まで休業』など、正月休みを長くするスーパーが多いです」(八木店長)
休みに入る前に「生鮮食品の在庫を売り切りたい」というスーパーの裏事情があるのだ。
「売れ残ったら困る葉物野菜の売り尽くしは、大みそかではなく30日の朝から始めます。多めに残っていたら、半額やそれ以下に値下げすることもありますよ。30日の午後になると、『小松菜は売り切れ』など欠品が増えていきますから、午前中に買うのがおすすめです」(新妻社長)
セール情報はチラシをチェックすればいいのだろうか。
「年末最後の売り尽くしは、店頭の売れ行きを見て決めるので、チラシに載らないものもあります。30日は残りわずかな商品の安売りも多いので、開店直後が狙い目です」(八木店長)
肉や魚の買い方にも、コツがあるという。
「鮮度が大切なので、消費期限が2~3日ある肉類は30日に、魚は31日に買うのがいいでしょう。種類豊富ななかから選びたいなら、午前中が◎です」(八木店長)
さらなる“たたき売り”を狙いたい場合は31日に。
「種類や銘柄にこだわらない、とにかく激安商品が欲しいというなら、野菜は31日朝から、かまぼこ類は31日午後、魚は31日夕方4時ごろから“売り切れごめん”のタイムセールを狙う手もあります」(新妻社長)