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「『原発事故を起こした東京電力には、電気料金を払いたくない』、そんな小さな反発意識と、月の電気料金が平均1万8,000円、ピーク時には2万円を超えるわが家の電力事情が引き金になりました。3月31日、駆け込むように電力会社の変更手続きをしました。

 

ところが、『受付け済み』という返信メールはあったものの、本当に会社が変更されているのか、わかりませんでした。(東京電力が設置する)スマートメーターについても、音沙汰なし。

 

今までの電力会社のプランが適用されると聞いてはいましたが、スマートメーターでないと30分ごとの電気使用量が確認できないため、時間帯で料金が変わるプランにした場合、不利益を被る可能性もあるとか……」

 

都内に暮らす主婦のAさん(35)は、そんな不満を漏らす。夫婦2人暮らしのAさん。冒頭のような理由から、ネットで電力会社変更の手続きをした。ところが最初に連絡が来たきりで、一向に具体的な変更の連絡が来ない。スマートメーターが取り付けられたのは、4月末のことだった。

 

4月1日から始まった、電力小売りの全面自由化。国民生活センターの福井晶喜さんによると、すでに契約に関し、いくつかのトラブルの相談が寄せられているという。

 

「1月から3月まででも645件もの相談が寄せられています。多くはスマートメーターへの切り替えや、電力会社が倒産した場合のご質問ですが、ちらほら『実際に思っていたことと違う』といった相談もあります」

 

たとえば、ある関東在住の消費者のケース。郵便で「電力プランを変えませんか」という案内が届き、さらに複数回の電話があったという。

 

「料金が安くなるという話だったので変更手続きをしたものの、後日、書面で契約内容を確認すると、従来の契約とあまり変わらないものだったそうです。それでクーリングオフをしたいと伝えたところ『期限が切れている』という理由で、解約できませんでした。ほかにも、新電力会社から届いた契約変更の申込書を、それまでの東京電力との契約継続の書類だと思い込み、よく確認せずに署名し、返送してしまったというケースもありました」(同前)

 

各地で「こんなはずじゃなかった!」という事態が起きているようだ。電気料金を「節約する好機」と考える生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは、「消費者が賢くなることがよりよいサービスにつながる」と提唱する。

 

「電力の契約先を変更することで、今までよりも平均5%ほど、電気代が節約になるケースがあります。その一方、契約先を誤ると30%以上、高くなることもあるんです」

 

自由化がスタートしてからまだ1カ月。柏木さんが今後の状況を予想する。

 

「夏に向けてエアコンの需要も高まり、各社でキャンペーンが始まるかもしれません。また’17年には都市ガス小売り自由化が始まるので、それに合わせた新たなセット割も期待できます。賢く選んで、得をしましょう!」

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