現在、都内の病院に入院中の猿翁(73)が体調を崩したのは、元旦に初日を迎えた大阪松竹座の襲名興行の2日目。

「実は3日の夜の部も本人は出るつもりでしたが周りが『無理なさらずに……』と止めたんです。初日、香川照之(47)さんとの初の親子共演で猿翁さんがひどく緊張していたのははた目にも明らかでした。テレビ取材も入っていましたから、空気は東京の襲名のとき以上に張り詰めていました。“初日からこうでは千秋楽まで体力がもたないのでは”と思ったのですが、案の定、体調を崩されてしまいました。ただ、帰京はせずに舞台復帰を目指して、大阪に留まり続けました」(歌舞伎関係者)

1月26日の大阪松竹座の千秋楽には、紋付袴姿で孫に手を引かれて約3週間ぶりに登場。万雷の拍手を浴びたが、東京に戻った猿翁はまもなく入院生活を送ることとなった。

「香川さんは後ろ髪を引かれる思いで、すぐに舞台『ぼくに炎の戦車を』出演のためソウルにたちました。その週末、親子を不意の不幸が襲いました。團十郎さん(享年66)の急死です。死を聞いて猿翁さんはオンオン声をあげて泣いたそうです。それからはっきり『放っておいてほしい』と自らあまりコミュニケーションを取らなくなってしまった。猿翁さんは気持ち的には通夜にも本葬にも顔を出したかったと思いますよ。でもその気力さえ出ないくらい、落ち込んでしまったんです」(前出の後援者)

 猿翁も香川も、成田屋には深い思いを抱いていた。
「梨園の道を志した香川さんに手を差し伸べたのは團十郎さんと海老蔵さんでした。先代・團十郎さんからは疎まれた猿翁さんでしたが、当代の團十郎はそんなことはおくびにも出さない謙虚な態度で接してきた。海老蔵さんも、役者として先輩の香川さんを『おにいさん』と慕ってきたんです」

そんな“同胞”を突然失ったことで、親子の落胆は深かったという。また親子共演できるよう、体調の回復を祈りたい。

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