14日に引退会見を開き、20年のフィギュアスケート競技人生に区切りをつけた高橋大輔(28)。会見では「スッキリした」と心境を語っていたが、そこに至るまでには苦悩があったようだ。母・清登さん(64)は、高橋が引退会見では語れなかった“本音”を勤務先の理髪店の店主・田村光江さんに明かしていたという。その彼女がこう続ける。

「会見の日の夜、1時間ほど家族だけで話をしたそうです。大輔はお母さんに『ソチを目指すと決めた後、特にこの2年間は本当に辛かった。実はケガをした足が痛くて思うように動かなくなっていて。何度もやめようと思った』と漏らしたそうです。大輔がそこまで追い詰められていたなんて、このとき初めて聞きました」

 08年11月には右膝のじん帯と半月板を損傷した高橋。バンクーバー五輪では銅メダルを勝ち取ったが、実は体は悲鳴を上げていた。ソチ五輪直前の昨年11月には、右脛骨骨挫傷と診断。それでもソチに出場したが結果は6位。彼はすでに心身ともに限界だったのだ。

それでも支えてくれたスタッフや落選した同志のため滑り続けた高橋。男子フィギュア界を牽引してきた彼のこれからに注目が集まっているが、清登さんは心配でもあるようだ。

「今後について、お母さんは『人気がなくなったからと言ってお払い箱にならないような、きちんと給料が出る仕事に就いてほしい』と言っていました(笑)。結婚についても、高橋家の4人兄弟で結婚しているのは、まだたったの1人。だから彼女は『早く結婚してもらいたい。そして孫の顔が見たい』とも話していました」

 清登さんはこれまで何度も「フィギュア選手としてよりも残りの人生の方が何倍も長い。フィギュアを通して、人として当たり前のことができる人間になってほしい」と言ってきた。その言葉通り第二の人生を歩もうとしている息子に、母はこんな思いを語っていた。

「あなたはこれまで色んな人に支えられてフィギュアをやってきた。だから、みんなに少しでも恩返しをしてほしい。それは何か貢献できる仕事でもいいし、仕事じゃなくても、そんな想いを持ちながらこれからの人生を大事に送ってほしい。もしあなたがそれを自分で決めたとしたら、私たちはこれまでどおり応援するだけだから――」

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