連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の第23週は、仕事と家庭の両立に悩む常子(高畑充希)。星野(坂口健太郎)たちと動物園に行くことを約束する。ところが、約束の日の前日、取引先の印刷所から差し替えの原稿の催促の電話が入る。商品試験の原稿に重大な誤りがあったから、人目に触れないように原稿を捨てて欲しいと指示されたという。花山(唐沢寿明)の代理だと名乗る社員から連絡があったと聞き、誰かの嫌がらせだと気付く常子。明日までに新しい原稿が入らないと予定日での発売は難しい。動揺する編集部だが、常子は急いで原稿や写真を作り直すよう皆を奮起する。
事情を知った花山は、さっそく原稿を書き直す。「ひょっとして、これも赤羽根が?」とつい口に出た常子の言葉に、「そんなことを言っていても仕方がない。君はやるべきことをやりなさい」と花山。その晩、どうしても動物園にいけなくなったと星野に伝える常子だが、星野の娘・青葉(白鳥玉季)に「おばちゃまの嘘つき」と言われてしまい、心を痛める。今の自分には、仕事をしながら家のことも子供のこともやるのは不可能だと、美子(杉咲花)に本音を打ち明ける。自分ができることをやればいい。何でも背負いこんじゃダメだと励ます美子。
夜を徹して雑誌の誌面を作る常子たちの元に、新聞記者と名乗る国実(石丸幹二)が現れる。国実は、「あなたの暮し出版」の商品試験が閉鎖的で公平性がないのではと難癖をつけてくる。呆気にとられる常子たちをよそに「では、またの日に」と言い残し、立ち去る国実。花山は不眠不休で原稿を書き直し、写真もすべて準備し直した。印刷所へ駆け込む常子。その日の夕方、約束を果たせなかったと悔やむ常子のもとを星野たちが差し入れを持って訪ねてくる。「わがまま言ってごめんなさい」と謝る星野の娘・青葉に、こちらこそと謝る常子。風呂敷の中身が星野と大樹(荒井雄斗)と青葉が握ったおにぎりだと知り喜ぶ。
雑誌は予定通り発売日に間に合うと花山に報告する常子。すると突然、花山から星野と交際しているのかを問われ、戸惑う。「人生をかけて雑誌を作る」と宣言した自分が、恋愛ごとでうつつを抜かして場合ではないことはわかっていると詫びる常子。花山は、「あの時の誓いに縛られる必要はないのではない」と言い、「仕事も大切だが、常子さんの人生なのだから、後悔しないように生きるべきだよ」と微笑むのだった。こうして、電気釜が特集された『あなたの暮し』は無事発売され、上々の売れ行きとなる。「大東京新聞」では最新号に目を凝らす国実。一方、商品試験で最低点をつけられた赤羽根(古田新太)は、手段を選ぶなと部下の村山(野間口徹)たちに発破をかける。
子供を寝かしつけた後、縁側で夜空の月を眺める常子と星野。昔、月がキレイだと言った星野の言葉を、鞠子(相楽樹)が愛の告白だと勘違いしたことがあったと笑う。さらに、かつて常子にプロポーズしたとき、本当は月を見ながら、「月がキレイですね」と想いを伝えるつもりだったと星野。その気持ちは今も変わらないと告げると、常子を抱き寄せ口づけをする。
次号に向けて動き出す常子たち。国実が森田屋を訪れ、常子たちのことを徹底的に聞きだそうとしていた。そんなある日、星野に転勤の内示が出る。二年前、実家に近い場所で働きたいと要請を出していたのが、今頃になって通ったのだ。仕事のことを楽しそうに話す常子に、星野は転勤のことを言い出せずにいると、息子の大樹が学校でいじめられていることを知る。その理由を聞き、星野はある決断をする。星野に食事に誘われ、嬉しそうに家を出る常子。星野は意を決して常子に自分が名古屋に転勤になったことを告げる。辞令の撤回も考えたが、大樹が同級生にやけどの跡を「気持ち悪い」と言われたことを知り、転勤を決心したのだという。「親としてなるべく多くの時間子どもたちの側にいてやりたいという星野に、常子は何も言うことができない。「星野さんのお気持ちは痛いほどわかります。お子さんのことを真剣に考える人だからこそ、私は星野さんを好きになったんです」と応じる常子。帰宅後、美子と君子に星野の転勤を報告し、今まで以上に仕事を頑張ると言って笑う。「辛い選択だったけど、常子は納得して選んだのだと思う」と常子の気持ちを察する君子。
かつてトースターの商品テストで苦情を言いに来た、ちとせ製作所の田中(蛍雪次朗)が常子の会社に笑顔で現れる。『あなたの暮し』の記事で、一時は倒産しかかったが、おかげで安全で使いやすいトースターを作りあげることができたと礼を言う田中。常子は、久しぶりに笑顔を取り戻す。
星野と子供たちが名古屋へと発つ日、常子は見送りに駆けつける。大樹と青葉と別れを惜しむと、星野には、4人で過ごした時間はかけがえのないものだったと感謝の気持ちを告げ、握手をする。星野は、「常子さんは、僕の誇りです。小橋常子という女性と出会えたことを、僕はこれからもずっと誇りに思い続けます」と挨拶し、握っていた手を放す。3人を笑顔で見送る常子だったが、星野たちの姿が見えなくなると、目に涙が溢れた。
三種の神器の一つ、洗濯機の試験を始める常子たち。その最中、『あなたの暮し』の商品試験は偽装だという衝撃的な見出しが載った週刊誌が発売され、編集部は騒然となる。相手にするなという花山の言葉に社員は落ち着きを取り戻すも、常子は不安を隠せない。そのころ、電機メーカー「アカバネ」の赤羽根社長は、自ら電器屋の店頭に立ち、自社の新型洗濯機を販売していた。部下の村山(野間口徹)たちから週刊誌の記事について報告を受ける姿が……。さらに、国実の企てにより、全国紙にも商品試験の公平性が問われるという旨の記事を書かれ、常子たちは窮地に立たされる。「あなたの雑誌には影響力がある」。常子は国実に言われ、改めて重責を感じる。
出版社に戻ると、松永(石田法嗣)からテスターの情報を週刊誌に漏らしたのは自分だと告白する。金のためにどこの誰かわからないものに協力したという松永。編集者になりたくて『あなたの暮し』に入社したが、ひたすら鉛筆を削ったり、繰り返し飯を炊いたり、来る日も来る日も商品試験をやらされ、もう耐えられないと吐露し、会社を辞める。常子は、自分の信条を社員に押し付けていたのではないかと悩んでしまう。社員の正直な気持ちを知り、担当業務を見直すために意見を求める常子。すると、社員たちはみな「この仕事に誇りを感じている」とやりがいを口にするのだった。社員の気概のある言葉を聞き、嬉しく感じる常子。洗濯機の商品試験を本格的に進めていく。
第24週は、常子(高畑充希)たちが洗濯機の商品試験を始めて半年がたったころ、国実(石丸幹二)の新聞社から、「読者の試験者を脅し、データを偽装している」という旨の記事が出る。国実は、密室ではなく公の場所で自分たちの試験結果の真偽を公表すべきではと持ちかける。常子は読者から来る励ましの便りや悔しいという声に応えるため、公開試験に同意することを決める。いよいよ公開試験当日。国実の新聞社にアカバネを含めたメーカーと「あなたの暮し出版」が一堂に会する。試験結果を公表し、自分たちの公正さを証明する常子たちの戦いが始まろうとしていた…。