「ただ手足を上げてバタバタさせるだけの体操。朝ベッドから起き出す前と、ベッドに入って寝る前のみで、意外と簡単にできるんですよ。続けてみると、台所仕事で夜になるとパンパンだった足がむくみにくくなりました。しかも始めて一週間くらいで持病の腰痛が軽くなったので、効果を確信。その1カ月後には58キロだった体重が54キロに。もううれしくて毎日バタバタやってます」

 

こう語るのは、主婦の佐々木かよさん(60)。このゴキブリ体操とはいったい?考案したのは埼玉県「南越谷健身会クリニック」院長の周東寛(しゅうとうひろし)先生。台湾出身の周東先生は、昭和大学医学部卒業後、積極的に北関東の無医村診療にあたった。

 

「もう20年以上前になります。成人女性の7割近くが、足のむくみ、腹痛、ぽっこりお腹に悩んでいる。子供から高齢者まで、簡単に体を動かせて、こうした悩みを解消するストレッチをと考えたのがきっかけでした。人間は手足に全身の70%の毛細血管がありますから、両手足を心臓より高い位置に持って行くことで、血流がみるみる促進されます。そのうえで、バタバタさせることで日常生活では使わない骨盤の内側にある筋肉(インナーマッスル)も鍛えられる。そんなアイデアから……。やってみると、まるでひっくりかえってジタバタするゴキブリのよう(笑)。それで、この名前になったんです」

 

体操自体はいたって簡単。床やベッドなど平らなところにあおむけになり、両手両足をなるべく真上にあげる。これが基本形。そして、手を阿波踊りのように左右に回転させながら、足は自転車のペダルをこぐ動き(ときどき逆回転も)を繰り返すのが初級編1。初級編2は、手は同様に阿波踊り、足は平泳ぎのような動作を繰り返す。これを朝晩1セットずつ。

 

「慣れてくると、1セット3分間はあっという間ですが、最初のころは30秒ほどからスタートして、徐々に3分間を目指していきましょう。ただ途中で休む際も、手足を上げたままが理想。この姿勢をしているだけでも手足の先から血液が心臓に向かって自然と流れ、効果があります」

 

童心に帰って、ゴキブリになった気持ちでバタバタするのが、「気分もリラックス、しぶとく長生きしてやるぞと思えるのもこの体操ならではの効果ですよ」。

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