「よくかんで食べると、若返り効果もあることをご存知ですか? それは、唾液に含まれる唾液腺ホルモン「パロチン」のおかげ。天然の美容薬として、さまざまな効果を発揮します」

 

そう話すのは、順天堂大学教授の小林弘幸先生。今回は、唾液腺ホルモン「パロチン」の美容効果や健康効果について小林先生に解説してもらいました。

 

「パロチンは骨髄などに代表される造血組織の発育や毛細血管の新生を助けるため、造血機能が高まり、毛細血管も丈夫になります。これによって全身の細胞に栄養が行き渡りやすくなり、新陳代謝も活発に。お肌や髪の毛を若々しく保ちます」

 

また、唾液とともに飲み込まれたパロチンは、胃や腸の壁に働きかけて、消化を促進させるという。

 

「腸内環境が整うと悪玉菌の活動が衰えるため、腸からキレイな血液が生まれます。自律神経も安定するので血管が拡張し、血流がサラサラに。さらに新陳代謝が活発になることで、肌も生まれ変わるという好循環ができるのです。壊れた細胞組織を修復する作用もあるので、手荒れなどにも効果があるでしょう」

 

パロチンは特に粘膜を強化する働きがあるので、皮膚炎や白内障、歯槽膿漏などの治療薬として処方されることもあるという。また、丈夫になるのは、皮膚や粘膜だけではない。

 

「パロチンは、年齢とともにもろくなっていく歯や骨の表面にカルシウムを沈着させ、再石灰化を促進。男性よりも骨粗しょう症の発症リスクが高い女性にとっては、頼もしい味方といえそうですね」

 

全身を若々しくしてくれるパロチン。しかし、年齢とともに減少してしまう傾向に。そもそも、赤ちゃんがいつもヨダレを垂らしているのはパロチンがたっぷり分泌されているから。

 

「年齢を重ねるほどに、よくかんで食べ、唾液の分泌を増やすこと。目安はひと口30回。また、耳下腺を刺激することでも、パロチンの分泌量は増やせます。耳の下を指で押すと唾液がたくさん出てきますが、これが耳下腺です。痛くない程度に指で刺激しましょう」

 

ちなみに、人間の顔の筋肉の7割位上は口の周りにあるので、よくかめば顔のたるみも解消……と、うれしい副次効果も!

 

「唾液は無料の美容薬。細胞が若返る様子をイメージしながら、唾液はなるべく飲み込みましょう」

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