忘・新年会シーズン。帰り道で食べたくなる、飲んだ後のラーメン。もしそこが新宿だったら、ちょっと冒険して西新宿の「思い出横丁」をのぞいてみてほしい。赤いちょうちんに「自家製手打ちらーめん」と書かれたのれん。ほろ酔い気分の常連さんが並ぶカウンターに腰かければ、ほっこりと温かい湯気が立つ、やさしい味の醬油ラーメンが出てくるはずだ。新宿「若月」の「手打ちラーメン」(400円)。麺は毎日ご主人がお店の2階で打つ自家製。豚ガラとにぼしに昆布を合わせた特製スープ。チャーシューにメンマまで全部ご主人の手作りだ。ソフトな平打ちのちぢれ麺に、ほんのりしたスープの甘みがよくなじむ。 「手作りって…できることは全部自分でやらないと。うちみたいな小さい店は採算あわないよ!」お金をかけないための手作り。人件費や加工賃は、できるかぎり自分の働きでおぎなう。お店の3代目のご主人となる竹内次作さんは、奥さんと2人でお店を切り盛り。この40年、週1度の定休である日曜以外は毎日15時間、新宿のこの店で働き続けてきた。 「麺だって…ある程度の数を注文しないと、製麺所はこっちのリクエストに答えてくれないんだよ。だから自分でああしよう、こうしようって作ってきただけ」そう朴訥に話す次作さん。 「ああ言ってるけど、気が済まないみたいですよ、全部自分でやらないと!」すかさずフォローする奥さんの芙美子さん。夫婦ならではの絶妙のコンビネーションに、思わず笑ってしまった。