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「ピーマンで特筆すべきはビタミンACEと総称されるA、C、Eがそろって豊富に含まれていることです」

 

そう語るのは、食品学、栄養学が専門の東京農業大学・古庄律教授。いつにも増して「がん」が話題にのぼる昨今。がんを予防する食材なら、夏はピーマンがイチオシだそう。ほぼ一年中出回っているものの、ピーマンの本来の旬は6〜9月。なんといっても安いので、毎日の食事に取り入れやすい。そんな、庶民のミカタのピーマンには、トップクラスの抗酸化力や美容効果があるうえ、高いがん予防効果もあるという。古庄教授がピーマンのスゴイ効力を教えてくれた。

 

【1】美肌効果

 

「ビタミンCは、通常は加熱に弱いのですが、ピーマンのビタミンCは加熱しても損なわれません。同じく含まれているフラボノイドが、ビタミンCの加熱による損失を抑制すると考えられています。焼いても炒めても揚げても、ピーマンのビタミンCはたっぷりのままなんです」(古庄教授・以下同)

 

ビタミンCが美肌作りに必須なのは言わずもがな。強い抗酸化力で活性酸素を除去してくれる。さらに、シミ、ソバカスの原因であるメラニン色素の沈着を抑制し、コラーゲンの生成も助けてくれる。

 

【2】がん予防

 

ビタミンE群はとうがらし類に抜群に多く、ピーマンはとうがらしの仲間である。

 

「ビタミンEの主な効用は、生体内で強い抗酸化活性を示すことです。私たちの体内では、紫外線、放射線、たばこの煙に含まれるカテコール、ダイオキシンなどの外的要因、そして呼吸、脂質代謝、解毒、白血球の食作用などの内的要因によって、活性酸素やフリーラジカルといわれる物質が発生します。これらが細胞膜やDNAを損傷することで、がんなどのさまざまな疾患が発症し、老化が進行すると考えられています。先に述べたビタミンCもそうですが、ビタミンEはこの活性酸素を消去する力が非常に強いのです」

 

ビタミンEが欠乏すると、がん、不妊、筋萎縮症、脳軟化症などの原因にもなる。

 

【3】眼精疲労改善

 

「にんじんやほうれん草ほどではありませんが、ビタミンAも多く含まれています。ビタミンAは皮膚・粘膜の保護作用、成長促進作用、生殖作用などの生理効果があります。目の機能の維持にも不可欠で、眼精疲労やドライアイの改善効果も見込めます」

 

【4】風邪予防

 

ビタミンACEに次いで注目すべきは、植物などに含まれる緑色の色素。葉緑素ともいわれるクロロフィルだ。

 

「ピーマンのクロロフィルは野菜の中でも多いほう。ビタミンACEに加え、クロロフィル、そしてカロテノイドが豊富に含まれていることで抗酸化力がさらにアップします。風邪などの感染症予防、がん予防も期待できるのです」

 

クロロフィルはガムなどにも使われている成分で、口臭予防、歯周病予防もあることがわかっている。

 

【5】抗うつ作用

 

ピーマンの特徴でもある苦味。しかし、実はピーマン自体に苦味成分はない。

 

「ピーマンには、ポリフェノールの一種のクエルシトリンという渋味成分が含まれています。これに香気成分のピラジンが咀嚼によって合わさると、人の味覚は『苦い』と感じるのです。このクエルシトリンは脂肪細胞の肥大化を抑制したり、高血圧抑制、抗うつ作用、血中中性脂肪の上昇抑制、血流改善、関節炎予防効果などがあります」

 

この夏はピーマンの抗酸化力で、がんもシミも抑制しよう!

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