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「新米を食べれば、銘柄のその年の味がいちばんはっきりわかります。産地ごとのさまざまな味わいを、ぜひ堪能していただきたいですね」

 

そう語るのは、5ツ星お米マイスターの澁谷梨絵さん。いよいよ新米の季節! 8月中旬に宮崎や鹿児島など九州地方の新米が出荷されたのを皮切りに、四国、千葉、茨城……と「新米前線」が北上中だ。せっかく迎えた新米たちはおいしく食べなきゃもったいない! そこで、澁谷さんにその持ち味を最大限に引き出すポイントをレクチャーしてもらった。

 

■計量はきっちりと

 

「おいしいお米も、分量に誤差があると味が変わってしまいます。面倒がらずに、毎回正確に量りましょう」

 

まず、米がこぼれても大丈夫な場所に180ミリリットルの計量カップを置き、山盛りにお米を入れる。つぎに、カップをそっと持ち上げ、底を何度かトントンと打ちつけ、米の間にある空気を抜く。最後に、計量カップのフチから盛り上がっているお米を箸などですりきり、ぴったり180ミリリットルにする。計量カップにみっちり詰めることがポイントだ。

 

■水の扱いはデリケートに

 

精米技術が発達したいまは、もはや「とぐ」必要はなく、軽く洗えばOK。

 

「昔言われていたように、水が透明になるほどといでしまうと、せっかくのうま味も洗い流してしまいます。ただし、お米が最初に出合うお水にはひと手間かけること。おススメは軟水のミネラルウオーター。硬水だとごはんがボソボソになってしまいます」

 

炊飯時の水加減も重要だ。昔は「新米は水を少なめに」と言っていたものだが……。

 

「現在では、お米の水分量は新米も古米も15%程度と決められて出荷されていますので、水加減を変える必要はありません。それよりも大切なのは浸水時間ですね。夏の端境期は乾燥していて水を吸いやすいのですが、新米は表面がつるつるしているので、水が浸透しにくいのです」

 

そのため新米は浸水時間を長めにすることが、おいしく炊くコツ。

 

「炊飯に使う水も、やはり軟水のミネラルウオーターがおススメですが、お米の産地のお水が手に入るならそれがベスト! 水道水なら炭を入れて、消臭・殺菌を。浸水のときに入れてもいいですよ」

 

なお、浸水時に釜を冷蔵庫に入れるのがベスト。新米なら浸水時間は2時間(通常は1時間、米が吸水しやすくなる夏場は30分)。冷蔵庫に入れるのは、冷たい温度から一気に沸騰させることで、ごはんをふっくら炊くためだ。

 

「冷蔵庫で冷やす時間がないときは氷を使うのもいいでしょう。目安は、水1合につき1個。計量カップに氷を入れてから、水を量ると正確です」

 

■1回の炊飯量はお釜の大きさに合わせて

 

「今日は1人だから1合しか食べないし」「とにかくたくさん炊いたほうがおいしいでしょ!」……。いろいろな意見がありそうだが、ごはんがいちばんおいしく炊けるのは、お釜に対して7割ぐらいの分量だ。

 

「5合炊きなら3〜4合。お釜に余裕を持たせて炊くことで、お米がしっかり対流し、ふっくら炊きあがります」

 

これは炊飯器でも土鍋でも同じ。そして余ったごはんはすぐに冷凍すること。さらにお米の保存にも気を配ることで、「驚くほどおいしいごはん」が家庭でも味わえるように。

 

新米をおいしく食べて、実りの秋を堪能しよう!

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