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「春の体を整えるなら、春菊がいいですよ」と語るのは、司会やコメンテーターとして活躍するほかバラエティ番組にも出演、’16年に国際薬膳師の資格を取得し薬膳講座の講師も務める、麻木久仁子さん(56)。冬から出回り始め、旬としては過ぎているのに、あえて今、春菊を食べたい魅力とは? 麻木さんが教えてくれた――。

 

■春こそ春菊でデトックス!

 

春の日差しを受けると、寒さで縮こまっていた体がほどけて活動的になりますよね。薬膳の考えでも、春は体が伸びやかに開くとき。デトックスの季節でもあります。デトックスと聞くと、ただ体内の汚いものを排出するイメージですが、薬膳ではちょっと違っていて、滞っていた気の巡りを回復させることをさします。

 

冬の間というのは、体が縮こまり、気も滞りますが、同時に新しい気、つまり春に向けてエネルギーの芽のようなものを育ててもいるんですね。いよいよ春を迎えたら、この気を芽吹かせることで、さらに伸びやかに育てる。そして、たまっていた余分なものは自然と流す、そんなイメージです。

 

注意したいのは、体の開き方。よく圧力鍋にたとえるのですが、圧力鍋って上手に蒸気を抜いてからふたを開かないと、爆発して、せっかくの料理も飛び散ってしまいますよね。同じように、急激に開こうとすると、巡る間も育つ間もなく、大切な気が暴走してしまいます。

 

また、体が無防備になり、ウイルスや花粉など、春に漂う“邪気”が入りやすくなるリスクも。少しずつ、でも確実に開くことが必要なのです。

 

そんな春にいただきたい食材は、伸びやかな力をくれる芽のもの、気の巡りをよくしてくれるもの、春の“邪気”から守ってくれるもの。春菊はといえば、いわば縁の下の力持ちで、これらの食材のパワーを吸収して、スムーズにデトックスするための土台をつくってくれます。

 

もちろん春菊自体も、気の巡りをつかさどる“肝”の働きを助ける力を持っています。

 

出回り始めの冬、葉がやわらかいときはもっぱらサラダでいただきますが、季節が進むにつれて味も香りも濃くなるので、ペーストにしたり、揚げたり……。春先は調理の幅が広がるのも楽しいですね。

 

自然と同じように、私たちの体の“気”も春に芽吹き、徐々に育って夏に全開になり、秋には収めて、冬に完全に閉じる、その繰り返しですが、なにより大切なのは春。うまくリズムにのることができれば、1年を快適に過ごすことができます。そのためにも伸びやかな気持ちで過ごすことが大切、怒りの感情は大敵です。春菊をおいしくいただきながら、機嫌よく過ごしてくださいね。

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