みそあま酒を使って「豚のしょうが焼き」 画像を見る

古くから“夏の体”にいいことで知られるあま酒だが、今や飲むだけではもったいない! 調味料として使うことで、その効果を最大限に発揮するというーー。

 

夏の季語でもある「あま酒」は、江戸の昔より、暑さで衰えがちな食欲を維持するための栄養ドリンクとして親しまれてきた。ここ数年は“飲む点滴”として愛好する人も増え、発酵食ブームの火付け役となったが、料理家の舘野真知子さんがその魅力を再確認したのは、10年ほど前だという。使えば使うほど、調味料としても優れていることがわかってきたのだそう。

 

「真っ先に、甘みとして砂糖の代わりに使えると思いました。いわゆる白砂糖に比べて、甘みはとてもおだやか。料理に使うとその甘みが縁の下の力持ちとなり、素材の味を引き出してくれます。また、発酵の特徴として、もともと肉や魚介などのタンパク質をやわらかくする力がありますが、じつは、こうじから作られたあま酒は、この独特の甘み成分にも同様の効果があることが最近の研究でわかってきたんです。だから本当に素材がやわらかくなる。でも、不思議なことに食感の特徴は残るので、食べる楽しさを損ないません。かむ力が衰えてきたお年寄りには、もってこいだと思います。さらに、消化によく、食物繊維やビタミン、アミノ酸など、疲労回復を助け、免疫力アップに関わる栄養が豊富。そのうえ、うまみたっぷりで、食材の雑味やくさみをとる効果もあるなんて、そんな調味料、なかなかないですよね」

 

こうじから作られる調味料といえば「塩こうじ」が有名だが、あま酒も同じように使えるそう。

 

「しかも、調理するうえでは、塩味を自由に調整できる点で、あま酒のほうが汎用性が高いと思います。そこで考えたのが、あま酒の利点を最大限に生かすことができ、ほかの調味料は不要な“漬け床”レシピ。漬けるだけで味が決まるし、くさみをとる、下味をつけるといった下処理も省けるので簡単です」

 

そんな、あま酒の利点を最大限に生かす “漬け床”レシピを紹介。

 

■漬けダレ「みそあま酒」

 

〈材料と割合〉

あま酒:みそ:しょうゆ:おろししょうが=大さじ5:大さじ3:小さじ1:小さじ1

 

あま酒によって塩のカドがとれ、おだやかな甘みと塩けが素材の味を引き立ててくれる万能調味料に。しょうがの風味がほどよく効いた甘さひかえめの田楽風みそで、発酵食品の相乗効果によりうまみがぐっと増すので、どんな素材も漬けるだけで味が決まる。

 

■豚のしょうが焼き

 

〈材料〉2人分

・豚ロース肉(しょうが焼き用)……200g

・みそあま酒……大さじ4

・サラダ油……小さじ1

・キャベツのせん切り、ミニトマト……各適宜

 

〈作り方〉

【1】豚肉にみそあま酒を塗り、冷蔵室に1時間以上おく。

【2】フライパンにサラダ油を中弱火で熱し、【1】を並べて両面焼く。器に盛り、好みでキャベツとミニトマトを添える。

 

〈あま酒の効果〉

焼いてもかたくならず、驚くほどふんわりやわらか。厚めの豚肉でも無理なくかみ切ることができる。また、脂には甘みが感じられ、特有の脂っぽさがとれてさっぱりするので、リーズナブルな豚肉でも上品な味わいに。

 

■鮭ときのこのみそあま酒蒸し

 

〈材料〉2人分

・生鮭……2切れ

・みそあま酒……大さじ4

・エリンギ……1本

・玉ねぎ……1/4個

・レモンの輪切り……2枚

 

〈作り方〉

【1】鮭は半分に切ってみそあま酒をからめ、冷蔵室に10分以上おく。エリンギは食べやすい大きさに切り、玉ねぎは薄切りにする。

【2】アルミホイルを広げ、エリンギ、玉ねぎ、鮭、レモンを順にのせ、ふんわり包む。これを2つ作る。オーブントースターに入れ、15分ほど焼く。

 

〈あま酒の効果〉

魚介のくさみと雑味がとれ、やさしい味わい、ふわっとほどける食感に。また、全体に味がよくしみ、調味料と鮭の滋味を吸ったエリンギと玉ねぎも美味。鮭のほか、サバなど味の強い青魚も食べやすくなる。

 

■豆腐のみそ漬け

 

〈材料〉2人分

・木綿豆腐……1丁

・みそあま酒……大さじ4

 

〈作り方〉

【1】豆腐はキッチンペーパーで包み、皿などの重しをのせて10分ほどおき、水けを抜く。

【2】ラップを広げて【1】をのせ、全体にみそあま酒を塗って包む。冷蔵室に1〜3日おき、味をなじませる。みそを軽く拭き、食べやすく切る。

 

〈あま酒の効果〉

豆腐をみそに漬けただけでもチーズのようになるが、あま酒が加わることで、木綿豆腐とは思えない、よりなめらかでやわらかな食感を実現。味はしっかりついているが、塩分はひかえめ。豆腐の日持ちがのびる利点もある。

 

「あま酒は自家製でも市販品でもOKですが、必ず(酒かすではなく)こうじから作られたものを使ってください。ストレートタイプならさっぱり、濃縮タイプならこってり仕上がります。塩分が含まれているタイプの場合、味をみて塩の量を減らしてくださいね。漬ける時間は目安で、冷蔵室に2〜3日おいても大丈夫です」

 

栄養も味も作りやすさも満点なレシピ、ぜひお試しあれ。

 

「女性自身」2020年9月22日 掲載

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