「足の症状にはさまざまな病気が隠されています。ごく一部、命にかかわるようなものも。そのため、複数の医師による診断が有効なのです」
こう語るのは、杏林大学医学部形成外科の大浦紀彦医師。足の救済を目的にした医師などのネットワーク・j.WALKのメンバーだ。今回、そのj.WALKに参加する医師たちへの取材をもとに、『足の異変』チェックリストを作成した。
【1】数百メートル歩くと、足が痛くて歩けなくなるが、しばらく休むとまた歩けるようになる
【2】安静時でも歩けないほど足が痛い
【3】足にできた傷が、1カ月以上(目安)たっても治らない
【4】入浴後、運動後など血行がいいときなのに足が青い
【5】足が冷える
【6】足がしびれる
【7】足がつる
【8】タコ、魚の目がある
【9】足がむくむ
【10】足の裏にホクロがある
【1】は「『間欠性跛行(かんけつせいはこう)』といい、足の血液の流れが悪くなる、末梢動脈疾患(PAD)によって起こる症状のひとつです」(菊名記念病院・末梢血管専門外来、宮本明医師)。「PADは心臓、脳以外の血管が詰まっている状態を示します。5年以内の死亡率は28%といわれています」(済生会横浜市東部病院・循環器科、平野敬典医師)。【2】の場合、PADがすでに進行している可能性がある。
【3】の場合は、PADと糖尿病の検査を。「糖尿病は、ひどくなると足の感覚がなくなるため、外傷を負いやすく、気づかず歩いてしまうため、傷が治りにくいのです」(大浦医師)。【4】【5】の異変も、PADが原因と考えられる。
誰もが経験しているはずの【6】だが、「腰のヘルニアによって神経が圧迫された場合、腰には痛みが出ないのに、足にしびれが出るということがあります」(大浦医師)。同様の【7】は、通常なら心配ないが、糖尿病による神経障害が原因ということも。【8】も糖尿病の症状として現れるという人もいるそう。糖尿病でなくても歩行障害につながるのでケアが必要。「ハイヒールは厳禁です」(宮本医師)
女性の多くは【9】の症状に悩まされているはず。「リンパ管の流れが滞って、足のむくみが発生するのがリンパ浮腫。なかには心臓疾患や栄養障害、さらには膠原病、静脈不全が原因とも考えられます。静脈不全になると『エコノミークラス症候群』と呼ばれる、深部静脈血栓ができる恐れがあります。血栓は柔らかく、全身の血管に運ばれることで、重篤なケースでは肺梗塞という死に至る状況になることも」(大浦医師)
最後の【10】。「足の裏にできる悪性黒色腫(がん)の特徴は、色が漆黒なんです。足の裏はつねに刺激があるため、悪性化しやすいといわれています。毎日、足の裏を見て異変に早く気づくことが重要です」(大浦医師)。日々のチェックを怠らないように!