「ねぎのアリシンという成分には、強力な抗菌・殺菌作用があり、風邪やインフルエンザなどの菌やウイルスから守る働きをしてくれるのです」
こう語るのは、女子栄養大学の栄養学博士・蒲池桂子先生。自給率90%を超える長ねぎは、素晴らしいパワーを持った食材なのだ。ねぎを刻むと出てくる独特の刺激臭と辛味がアリシンの正体。ねぎは大別すると白い部分が多い(軟白部と呼ぶ)「白ねぎ」と、葉先まで食べられる「青ねぎ」に分けられるが、アリシンは白ねぎの軟白部に特に多く含まれている。
「風邪のひき始めかな?と思ったら、白ねぎを生食するのがおすすめ。アリシンは熱に弱く、時間の経過とともに減ってしまうので、食べる直前に刻んで納豆やおそばにたくさん入れて食べると効果が最大限に得られます」
白ねぎのぬるっとした成分のフルクタンと呼ばれる多糖類も、菌やウイルスの侵入・増加を抑え、抗体をつくる働きをしてくれる。白ねぎを水にさらすときには、アリシンが水に溶け出てしまわないよう、長くつけておくのは禁物。2〜3分で十分だ。またアリシンには血行をよくする働きがあるので、冷え性の改善、疲労回復や肩こり、不眠にも効果がある。
それでは、青ねぎはどうか。じつは青ねぎのほうが栄養価的にもすぐれているそう。注目成分は、カロテン、葉酸だ。
「カロテンは体内でビタミンAに変換されます。皮膚や粘膜の形成や免疫機能を正常に保つので、乾燥肌の改善など美肌づくりに有効です。白ねぎ同様に抗酸化作用にすぐれているので、心筋梗塞や動脈硬化にも効果があります」
冬になると乾燥肌に悩まされる女性は多いが、そんなときには青ねぎがおすすめだ。カロテンは水に溶けにくく、熱にも強い成分なので、生食でも加熱調理でもどちらでもOK!そして現在注目されている栄養素の葉酸にはこんな効果も。
「妊娠を希望しているのであれば、葉酸を摂取することで、赤ちゃんの先天性の障害を予防する効果があります。また、母乳の出をよくする働きもあるんですよ」
そして白ねぎと青ねぎ、どちらにも多く含まれているのは、カリウム、カルシウム、食物繊維だ。
「体の機能を正常に保つ栄養素が満載です。血圧を正常に保ち、むくみの解消にもなるカリウム、骨を丈夫にするカルシウム、便秘や糖尿病を防ぐ食物繊維。これらを全部取れるのがねぎなんです」
ねぎを食べれば、冬場は風邪知らずで乾燥肌とも無縁、冷え性ともおさらばでダイエット効果もあり、妊活にももってこい。女性にとっての救世主ともいえる野菜、それがねぎなのである。