「気仙沼の住職さんが『認知症改善に効果的だそうですよ』という手紙を添えて、えごま油を送ってくださいました。それからは、サラダやカルパッチョにかけるドレッシングを、えごま油に替えたんです。わが家の定番レシピにそういった食材を取り入れて、毎日カミさんに食べてもらうようにしているんですよ」
そう話すのは、俳優の砂川啓介さん(78)。7年以上におよぶ、アルツハイマー型認知症を発症した妻・大山のぶ代さんの介護生活を綴った著書『娘になった妻、のぶ代へ〜大山のぶ代「認知症」介護日記〜』が12万部を突破。砂川さんのもとには“妻のために毎日作っている”という愛情料理への問い合わせが、多数届いているという。
砂川さんの手料理のなかでも、特にのぶ代さんが好きなのは、じゃがいもの味噌汁だ。
「以前、カミさんが直腸がんで入院したときも『啓介さんのじゃがいものお味噌汁が食べたいわ』とリクエストされたほどです。どうしてもというので、僕が作って病室まで届けましたよ。ちゃんと医者に許可をもらってね(笑)」(砂川さん)
以前から和食が中心だった砂川家だが、大豆製品が認知症に効果的だと聞いて以来、味噌汁は毎日欠かさない。
「トマトをたっぷり使った『啓介シチュー』も、30年以上前からの得意料理です。刻んだトマトを最後に加え、酸味を利かせるのがポイント。トマトに含まれるリコピンが脳の活性化に効果的だと聞いて、作る頻度が増えました」(砂川さん)
手料理のかいあってか、最近ではのぶ代さんの病状も以前より安定。ベッドから起きて生活する時間も長くなったそう。そんな、砂川家が使っている認知症に効く食材をご紹介。
【味噌】
神経伝達をスムーズにしたり、記憶力の低下を防ぐ作用がある大豆レシチンを含む味噌は、脳の活性化に効果的。アルツハイマー型認知症発症リスクの軽減にも有効。
【トマト】
赤い成分・リコピンが脳細胞を活性化し、認知症の抑制に効果的。また、トマトは加熱すると、よりリコピンの成分が吸収されやすい状態になるので、加熱調理がベター。
【にんじん】
にんじんの黄色い成分・βカロテンにも、トマトのリコピン同様、抗酸化作用が。βカロテンは脂溶性なので、オリーブ油と一緒に摂取すると、より吸収率がアップ。
【春菊】
脳の酸化を防ぐ抗酸化作用があるβカロテンの含有量が、野菜の中でトップクラスの春菊。カリウムが余分な塩分を排出してくれるので、高血圧予防にも効果的。
【えごま油】
脳を活性化し、認知症予防に効果的なα-リノレン酸を豊富に含んでいることで、近年、注目を集めている植物油。熱に影響を受けやすいので、生で摂取するほうがよい。
【青魚】
植物油の主成分、脂肪酸のひとつであるα-リノレン酸が豊富な青魚。近年、認知症予防に効果的だと注目を集めている。イワシ、サンマ、アジなども◎。
【鮭(サケ)】
脳の活性化に有効なオメガ3系の脂肪酸が豊富で、善玉コレステロールを増やし、血管を若返らせてくれる。抗酸化作用の強いアスタキサンチンが含まれているのもうれしい。
「昔から食べることが大好きだったカミさんは、今でも食欲旺盛(笑)。これからも彼女に、おいしいものをたくさん食べさせてあげたいです」(砂川さん)