「女性の悩みは人それぞれ。ですが、更年期の症状は全部、“おなかの中のカビ”が原因かもしれません」
そう語るのは、福岡県北九州市にある「葉子クリニック」院長の内山葉子先生だ。西洋医学と自然医療、心のケアを統合的に行っているという内山先生。ほかの病院で「治療法がない」と言われ、行き場をなくした患者を多く診てきたなかで、「カビが腸内で異常に繁殖している状態が、さまざまな病気と関わっている」と考えるようになったそうだ。
「’07年に当クリニックを開業したころ、『おなかの調子が悪い』『顔の湿疹が治らない』、そんな、原因不明の症状に悩む女性が何人かいました。彼女たちの食生活は至って“ヘルシー”で、なおかつ薬も処方されているのに改善されなかった。この理由を解明できずに、心にひっかかっていました」(内山先生・以下同)
そんなときに、“おなかのカビ”について書かれたアメリカの医師の研究書と出合う。
「そこで私が抱える患者さんを検査したところ、多くの人の腸にカビが繁殖しているのがわかったんです。患者さん皆さんも、とても驚かれます。でも実は、誰の腸にも、カビはいるんです。腸の中には、腸内細菌や微生物がいることは知られていますね。カビもその一種です。健康な人なら、腸内にあるさまざまな微生物の中の1%前後、カビがいても問題ありません。しかし、急激に増えると、体にさまざまな症状を引き起こします」
なぜおなかのカビが増えると、不調が出るのだろうか。
「まず、カビの出す酵素によって、腸壁が刺激され、腸の粘膜が破壊されてしまいます。すると破壊された腸壁の隙間から、未消化物や異物が血中に漏れ出て、アレルギー反応も起こりやすくなるのです」
これは「リーキーガット症候群」と呼ばれる症状だ。腸の炎症が進行すると、全身にも影響が及ぶ。
「疲れやすい体質や、嘔吐、下痢や便秘を引き起こすような有害物質が体の中で作りだされます。すると、免疫力も低下し、感染症を起こしやすい体質に。さらに、低血糖も引き起こすので、カビの原因である甘いものをよけいに求めるようになるんです」
おなかのカビを減らすうえで、いちばんのポイントになるのは、食生活。
「まずは、カビの大好物である、甘いものを控え、質の悪い炭水化物を減らしていきましょう。そのほかにも、おなかのカビを増やしてしまう食品はいろいろあるんです」
内山先生の助言をもとにまとめたのが、次の「カビを増やさない・減らす食事6ポイント」だ。
【1】甘いものを控える!
【2】炭水化物を減らす! 特に小麦製品(雑穀、いも、そばは比較的安心)
【3】GMO(遺伝子組み換え)食品や添加物を避ける
【4】質のよいタンパク質や、新鮮な無農薬の野菜をとる
【5】毎日同じものは食べないようにする
【6】カビが発生しやすい食品を避ける
カビが発生しやすい食品は、「バナナやパイナップルなどの輸入物の果物や、甘味の強い果物」「とうもろこし」「小麦・大麦」「乳製品」「砂糖」「ナッツ類」「コーヒー」「ビール・日本酒・ワインなどアルコールや甘酒・麹類」だ。
砂糖類については「黒砂糖、甜菜でもダメ!!」と、先生は強く語る。
「どうしても甘いものが欲しいならハチミツ、メープルシロップ、ステビアやラカンカを使いましょう。調味料の醤油と味噌、日本酒は、料理をおいしくするために必要ですからやむをえません」
では、カビを減らすうえで、何を食べたらいいのだろうか。
「カビを退治するうえでよいとされているのは、抗真菌作用がある食品やハーブです。代表的なのは、梅干し、にんにく、わさび、ローズマリー、ココナツオイル、シナモン、そしてリンゴ酢などでしょう」
それらを積極的に使用した食生活を実践し、体調が改善した例もあるという。
「とある40代の女性は、顔が赤くなる顔湿疹に何年も悩んでいました。皮膚科を転々として、ステロイド剤を塗ってもよくならなかった。そこでカビを減らす食生活を指導したところ、3週間で顔湿疹が消えたんです。同じように、10年近く慢性の咳症状に悩んでいた女性も、食事指導によって、2週間でカビが激減、咳も治まるようになりました」