「自覚症状が出ていなくても、病気のサインは顔に表れています」
こう話すのは『顔を見れば隠れた病気がわかる』(マキノ出版)の著者、「みうらクリニック」の三浦直樹医師だ。
「眉間と目は肝臓、目の下は腎臓、鼻は心臓、頬は肺、唇は胃と腸といった具合に、顔のパーツと内臓には相関関係があります」(三浦先生・以下同)
これらの位置に血色、膨らみ、へこみ、シワ、シミ、吹き出物といった急な変化が見られたら、その関係する内臓に不調が出るという。
自分でチェックできる「顔でわかる病気のサイン」、なかでも重篤な症状につながるものを三浦先生に聞いた。女性はお化粧や外出前などに、鏡を見る習慣があるので、こうした変化に気をつけてみよう。
■肺気腫など肺の疾患
肺の機能が低下すると頬と眉に変化が表れる。
「頬に黒ずみができる人は、姿勢が前かがみになっている人、口呼吸をしている人に多いです。深い呼吸ができず、肺の機能が低下しているからです。喫煙者はなおさらです。太っている人も、胸骨のまわりの脂肪が肺を圧迫して、頬が黒ずんできます。また眉間に横ジワができるのは、肺の下部に悪いものが滞っているしるしです」
ひどくなると、肺炎や肺気腫になるから要注意だ。次のエクササイズを参考に、肋骨を開いて肺の可動域を広げよう。
【エクササイズ】
鎖骨と第2肋骨の間を指でほぐす。さらに第2と第3肋骨の間、第3と第4肋骨の間もほぐしておくと深い呼吸ができるようになる(左右とも)。
■脳梗塞・脳出血
耳で最も特徴的にサインが出るのが耳たぶ。ここにシワがあると動脈硬化が考えられる。特に、遠目から見てもわかるほど深くシワが入っている場合は、脳梗塞や脳出血のリスクが高いので、早急に医療機関で脳ドックの検査をし、血液がサラサラになるような食事や運動、次のエクササイズなど、予防に努める必要がある。
「’15年に石原慎太郎・元東京都知事が脳梗塞で倒れました。その数年前の写真を見たら、耳たぶのシワはそれほどでもなかったのですが、倒れる直前は耳が切れそうなほど深くなっていましたね」
【エクササイズ】
肩のラインの延長線上、腕のつけ根部分のコリコリとした滞りを指でほぐす。耳たぶにシワが現れている側を重点的に。肩甲骨周り、耳の上の側頭部もほぐしておくとよい。
シワの部分をマッサージするのもよいそうだ。
「シワの原因は、どこかで血流が遮断されているからです。シワの部分をマッサージしたり、耳たぶを引っ張ったりすることで血流改善につながるでしょう」
■糖尿病
眉の右寄りに縦ジワができたり、眉間(やや右寄り)が膨らんできたときは、糖尿病を疑おう。次のエクササイズは、インスリンの分泌を促す働きがあるので、ぜひ試してほしい。
【エクササイズ】
右の太ももの内側、膝と鼠径部の中間を指でほぐす。さらに右側頭部の耳の上から額に向かってこすると、インスリンの分泌が促進される。
■腎不全などの腎臓疾患
腎臓は、老廃物を排せつし、解毒のために働いてくれる臓器で、目の下と関係する。目の下に膨らみやたるみが現れたり、クマができると、腎臓の機能が低下しているサイン。腎臓の働きが弱まると、腎臓結石、腎臓肥大、腎不全などを発症する。次のエクササイズのほかに、海藻類を取るようにしたり、腎臓周辺を温めるといい。
【エクササイズ】
太ももの内側、膝から鼠径部までを4等分した最も膝よりの部分を指でほぐす(左右とも)。この部分に「血海」という腎臓の血流改善のツボがある。
顔のサインから、病気を未然に防ごう!