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肩こりは肩をもんでも根本的な改善にはつながらない。全身の筋肉はつながっているので、連動している腕や指をほぐすことによって、効果的に肩こりを治すことが可能――。

 

「肩がこったり腰が痛くなると、マッサージや整体に行ったり、筋力が足りないと筋トレに励む人が多くいますが、実は、そういうことをしても、肩こりや腰痛は治りません」

 

こう言い切るのは理学療法士で、広尾整形外科副院長の財前知典さん。俳優やプロスポーツ選手を含む、多くの人の肩こり、腰痛、椎間板ヘルニアなどの不調を治療してきた“体の動き”をみるプロだ。

 

「最近は長時間のPC作業や、スマホを多用するために、手や腕に必要以上に力を入れ、疲労がたまっている人が多くいます。手や腕の疲労が、筋肉や筋膜でつながっている肩や首のこりとなって現れているのです」(財前さん・以下同)

 

しかし、ここでマッサージや整体で、こっている場所を直接もみほぐしてもらったり、病院で湿布薬を貼ってもらったところで、対症療法にすぎないという。

 

「全身の筋肉はつながっていて、肩こりがあるからといって、肩の筋肉をもむのではなく、本当にほぐすべき部分は、その連動している部分なのです。だから、連動している部分をほぐさなければ、根本的な改善にはならないのです」

 

そこで、連動して稼働する筋肉の効果的なほぐし方を紹介。ほぐす強さは自分にとって心地よく感じる程度の力加減で十分。強く押して痛みを感じたりすれば、痛みに反応して筋肉が緊張してしまったり、筋膜を痛めたりしかねない。1回数分程度、1日何度も行うとより効果的だ。

 

【1】首の上のほう(耳の付け根あたり)が張っている

 

首が張っているほうのひじの下約3cmの外側を逆の手の親指でもみほぐす。

 

「首と腕は筋膜で連結していて、首の上のほうは腕の外側とつながっています。首の上のほうがこっていたり、突っ張る感じがあれば、張っているほうの、腕の外側をほぐすように押してください」

 

【2】首の下のほう(首の付け根あたり)が張っている

 

首が張っているほうのひじの下約3cmの内側を逆の手の親指でもみほぐす。

 

「同じ首のこりや突っ張りでも、下のほうであれば、腕の内側と連動しています。張っているほうの、腕の内側をほぐしてください」

 

【3】手や腕が張っている

 

張っているほうの手の人さし指の付け根のほうから爪の先に向かってこする。

 

「長時間PCで作業する人やスマホを多用する人は、手や腕が緊張しています。その場合は、張っているほうの、手の人さし指の付け根のほうから爪の先に向かってこすってください。人さし指の内在筋(手の中の筋肉)が刺激され、手や腕の緊張が取れます。その結果、肩こりが改善されることにつながります」

 

【4】肩こり

 

頭を左右に傾けて張っていると感じるほうの親指の付け根、ふくらんだ部分をもみほぐす。

 

「肩がこっていれば、こっているほうの、手の親指の付け根のふくらんだ部分を、逆の手でもんでください。この部分がほぐれると、肩の筋肉がほぐれます」

 

【5】寝違え

 

寝違えた側の腕を上げ、もう片方の手で脇の後ろの筋肉を押す。

 

「寝違えは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ脇の筋肉が緊張して起こります。脇の筋肉は首と連動しているため、寝違えた側の、脇の後ろ側の筋肉の緊張をほぐすと楽になります。手のしびれもこの脇の筋肉をほぐすと改善されます」

 

【6】坐骨神経痛

 

片方のお尻の真ん中、えくぼの部分にテニスボールやゴルフボールなどを当てて筋肉をほぐす。あるいは、マットに置いたボールにお尻の真ん中が当たるように体重をかける。

 

「坐骨神経痛とは、片側のお尻の真ん中から太ももの後ろ側に痛みやしびれを感じる疾患(症状)です。ゴルフボールやテニスボールなどで片側のお尻の真ん中に軽く刺激を与え、じんわりと筋肉がほぐれるのを感じることができれば、痛みは軽減されていくはずです」

 

1日数分のほぐしマッサージで、首・肩こりを解消しよう!

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