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「放っておくと、がん化する恐れがあります」

「抜かないと、取り返しのつかないことになります」

 

いま歯科治療の現場で、患者がむやみに脅かされるケースが横行している――と嘆息するのは、歯科医師の斎藤正人氏。斎藤氏はできる限り抜かずに治療して歯を守る、保存歯科のエキスパートだ。院長として治療にあたるサイトウ歯科医院は、冒頭のような宣言をうけた患者さんの“駆け込み寺”的な存在となっている。

 

「私の見立てでは、丁寧に治療をすれば十分歯を残せるケースがほとんどでした。なかには『この歯を抜くなんて?』と目を疑うケースも増えています」

 

このような“悪徳歯科医”を生む背景を、斎藤氏が解説する。

 

「歯科医院は、いまや都市部ではコンビニよりも乱立しているのが実情です。数が多すぎると、その分不勉強で技術の不確かな歯医者も多くなります。悪質な治療を受けて症状が改善されず、もっといい歯科医はいないかと、歯科医をハシゴし続け、ひどいことになった患者さんを診ることもあります」

 

では、昨今の雑誌などの「歯科医特集」にあるように、院内が奇麗で清潔、最新機器を備えていて、優しく話しやすい歯科医であればいいのだろうか? 斎藤氏は即座に否定し、続ける。

 

「清潔なのは当然のことで、物腰柔らかでサービス精神旺盛な歯科医が、不必要な治療をすすめるケースもありえます。さらに、腕が必ずしも確かであるとは限りません。都心に豪華なクリニックを開業して最新鋭の機器を導入し、資金繰りのため、不必要な高い治療をすすめなくては立ちゆかない歯科医もいるのです」(斎藤氏)

 

“口内炎が治らない”と、長らく受診していて、結局はステージ4の舌がんと診断された、堀ちえみさん(52)の例は記憶に新しい。

 

「マスコミ報道では『がんと口内炎は見分けがつきにくい』などと歯科医を擁護する向きもありますが、白くなっていたらまず前がん病変を疑うべきでしょう。口内炎にステロイド軟こうを処方して、2週間痛みが引かなければ、専門病院へ紹介しなければなりません」

 

漫然と治療を委ねていると、取り返しのつかない結果になる「通ってはいけない」歯科医院は、ちまたに多く存在するそうだ。

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