筋肉づくりに特化したサプリメントのように思われがちなプロテインだが、日本語にすると「タンパク質」。必須栄養素のひとつだ。不足すると、あらゆる不調を招くことに……。プロテインで栄養バランスを整え、健康体を手に入れようーー。
私たち日本人の食品摂取基準(健康増進法に基づくは、5年に1度改定される。2020年4月からは、中高年のタンパク質目標摂取量が引き上げられ、話題となっている。
「美魔女といわれ、40代、50代のうちは若々しくても、タンパク質不足の生活を送っていると、60代で一気に老け込むなんてことも」
そう話すのは、プロテイン・ソムリエの森口裕子さん。タンパク質が不足すると老ける!? 女性にとっては恐ろしく、聞き捨てならない提言の根拠とは……。
「まず、タンパク質がふだんの食生活で不足しがちだという認識が薄いことは問題です。40代になると、特に女性は中年太りを気にしてダイエットをする人が多いですよね。自己判断で肉や乳製品を控えるなど、栄養バランスがくずれた食生活を長期間にわたって続けてしまうんですよね。ストレスで甘いものやごはんものはたくさん食べてしまう傾向にあるので、炭水化物は多くとっているのに、タンパク質は不足している状態。これでは、肌や髪が弱くなったり、免疫機能が低下するなどの不調を招いてしまいます」
厚労省のタンパク質摂取の推奨量は、体重1キログラムあたり1グラム(成人女性は1日50グラム)。新基準では、65歳以上は総エネルギーの15〜20%としている(前基準は13%〜)。
「運動をしていない女性でも、タンパク質の目標摂取量は1日50グラムです。肉・魚・大豆などの食材を“毎日げんこつ1個分”食べる必要があるのです。でも、これってけっこう大変ですよね? 肉や魚ばかりを食べれば脂質オーバーになりがちですし、豆腐や納豆ばかり食べるというのもつらい……」
50グラムのタンパク質をとるには、牛もも肉260グラム、卵8個、納豆7パック……。がんばって食べようとしても、そのカロリーが心配。
さらに、美容目的では体重×1.2グラム、筋肉アップ目的では体重×2グラムのタンパク質が必要とされている。肌、髪、血管、筋肉の組成に不可欠な栄養素なのに、ふだんから不足しがち!
「そんな人には、1日1杯のプロテインをおすすめします。水か牛乳に溶いて飲むだけで、15〜20グラムのタンパク質がとれるうえに、カロリーは抑えられていて安心です。その他の栄養素が配合されているものも多いので、ご自身の体調に合わせてセレクトし、毎日の“プロ活”を始めてみてください」
そこで、森口さんが“症状別”におすすめのプロテインを紹介。また、食事でとる場合におすすめのメニューも合わせて教えてくれた。
■「筋力アップ」朝食代わりになる動物性プロテイン
活動量が上がる前に、つまり朝に飲み、タンパク質を補っておく。朝食代わりに飲みやすい味がおすすめ。
「ホエイからできている動物性プロテインは牛乳と相性がよく、おいしく飲めます」(森口さん・以下同)
食事でとる場合は「野菜入りスクランブルエッグ」がおすすめ。筋力を上げ、疲れにくい体を目指しているなら、朝食での15〜20グラムのタンパク質をとるのがベスト。卵をたっぷり使った野菜入りスクランブルエッグや、ツナチーズトーストを食べて朝から活動しよう。
■「血管強化」アルギニン豊富な大豆プロテイン
血管の内皮細胞を生まれ変わらせるのもタンパク質。脳卒中や心筋梗塞などの血管病を予防しよう。
「アルギニンが豊富な大豆プロテインがおすすめ。甘めのものはクセがないですよ」
食事でとる場合は「鶏肉と緑黄色野菜の蒸し物」がおすすめ。タンパク質を取りながら、減塩メニューを心がけて。
「鶏肉と野菜の蒸し物のほか、冬魚と焼き野菜マリネなどが好バランス。血管のために、不飽和脂肪酸のオメガ3のオイルを積極的にとるのもいいですね」
■「髪にツヤ・ハリ」亜鉛・ミネラル配合の大豆プロテイン
髪の主成分であるケラチンをつくるには、タンパク質が不可欠。
「大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンに似た作用があり、髪を健康に保つ効果が期待できます」
食事でとる場合は「豆腐、ワカメたっぷりのみそ汁」がおすすめ。
「和食の“一汁三菜”を意識しましょう。3色すべては難しいと思いますが、みそ汁を具だくさんにするとお手軽です。髪にいいミネラルが豊富なワカメや豆腐を具にすれば、カロリーも低くて安心です」
■「肌にうるおい」美容成分たっぷりのプロテイン
タンパク質が不足すると、肌のターンオーバーが乱れ、肌荒れを招く原因に。
「ビタミン添加型や、動物性×植物性のタンパク質を手に入れましょう」
食事でとる場合は「肉と野菜たっぷりのスープ」がおすすめ。
「血流をよくすることも、美白づくりには大切です。肉、野菜を一度に多くとれる熱々のスープで体を温めましょう。サラダを食べるときは、ゆでた肉や魚を足してタンパク質を追加してみましょう」
水さえあればどこでも飲めるプロテインは、災害時用の備蓄にも最適。森口さんの“症状別おすすめプロテイン”を数種類買っておき、そのときの体調によって選び、飲んでみよう。
「女性自身」2020年2月18日号 掲載