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「腸の機能が弱まり便秘が続くと、老廃物や有害な毒素が体内にとどまってしまうため、大腸がんをはじめ重篤な病気のリスクが高まってしまいます。また、腸には病原細菌やウイルスを除去する働きがあり、この機能が衰えると、肌トラブルや免疫力の低下などを招くことにつながります」

 

そう話すのは、松生クリニックの松生恒夫院長。これまで5万人以上の患者さんの腸を診察してきた松生院長は、全身の健康を保つために腸内環境を整えることの大切さを強調する。

 

’12年にアメリカ・メイヨー医科大学が発表した、ミネソタ州に住む人約4,000人の15年追跡調査でも、慢性的な便秘がない人は生存率が高く、便秘などで腸の働きが悪い人は寿命が短い傾向が確認されたという。

 

クリニックを訪れる患者さんに、便秘の対処法として松生院長がまず薦めるのは食事内容を見直すことだ。

 

「腸の内側のひだのなかには、約500種類、合計100兆個の細菌が存在するといわれ、フローラ(お花畑)と呼ばれる腸内細菌叢を構成しています。細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌があり、日和見菌は状況に応じて善玉菌や悪玉菌に加勢します。腸にやさしい食材を積極的に取ることで善玉菌を増やすようにすると、便秘の症状も改善することが多いのです」(松生院長・以下同)

 

この善玉菌を増やすための“最強食”と松生院長が太鼓判を押すのが「納豆にオリーブオイルをかけて食べる」ことだという。

 

納豆の納豆菌、ナットウキナーゼは、血栓を溶かし脳梗塞などのリスクを下げる。大豆には更年期症状を改善させるイソフラボンのほか、便を軟らかくする水溶性食物繊維が豊富だ。食物繊維は大腸の中を酸性にして有害な細菌をすみにくくさせるとともに、有害物質を吸着させて便と排出、血中コレステロールを下げるといった働きを持つ。

 

いっぽう、エクストラバージンオリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸のオレイン酸は、悪玉コレステロールを抑える作用がある。さらに酸化しにくい性質ももっていて、動脈硬化を防止する効果もある。これらの相乗効果によって、オリーブオイル納豆を食べることで便秘を防ぎ、腸内環境を整えることができるのだという

 

本誌記者もさっそく、納豆に大さじ1杯分のオリーブオイルをかけて、よくかき混ぜて食べてみるとーー。納豆の粘り気が抑えられ、サラッとした食感だ。ネバネバが苦手、という人にはうれしいかも。納豆とオリーブオイルの風味はけんかすることもなく、想像以上に食べやすかった。

 

「オリーブオイル納豆をより一層おいしく、健康的に摂取するためには、主食は白米よりも麦や雑穀を混ぜたごはんにすることもおすすめしています。精製加工されていない全粒粉や雑穀は、血糖値の上昇を緩やかにする作用があるからです。さらに、体によい食材をトッピングとして“ちょいのせ”する方法もあります。こうして毎日飽きずに食べられるのも、オリーブオイル納豆のメリットです」

 

そこで、読者世代の女性に松生院長がおすすめする“ちょいのせ”食材と、そこから期待できる効果を教えてもらった。

 

【おろししょうが】

体を温める効果のあるジンゲロールを含有し、冷え症改善にも効果アリ。

 

【キムチ】

発酵食品であり、乳酸菌が豊富。腸内環境の改善に大きく期待できる。

 

【刻んだトマト】

抗酸化作用のあるリコピンを含むため、肌の若返りの効果が期待できる。

 

【青じそ】

青じそに含まれるビタミンEの作用でアンチエイジング効果も期待できる。

 

【砕いたナッツ】

食物繊維が腸のぜん動運動を促し、抗酸化作用のあるビタミンEも含む。

 

【みょうが】

独特の香りの成分α-ピネンの作用で、ストレス緩和や集中力アップにも。

 

【黒ごま】

抗酸化作用のあるセサミン、さらにビタミンEと栄養が豊富。

 

【カレー粉】

スパイスの作用が代謝を促進し、生活習慣病の予防効果もある。

 

ほかにも、大根おろしや練り梅、刻んだ長ねぎ、しらすをかけて食べるアレンジ方法も。また、もずく酢、すりおろした長いもなど“ネバネバ食材”と一緒に混ぜると、便秘解消の効果をアップさせることができそうだ。

 

「いずれの食材も安価なので、毎日続けやすいところもオリーブオイル納豆の優れた点です。薬に頼って排便を促している人も、少しずつ減薬できるでしょう」

 

「女性自身」2020年2月25日号 掲載

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