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「みなさん、自分の今日のうんちの色がどんな色だったか確認しましたか? じつはうんちの色は体のコンディションを測るバロメーターでもあるのです」

 

こう話すのは、排便記録アプリ「ウンログ」アンバサダーで、「うんち栄養士」の名称で活動する梅原しおりさん。日ごろトイレではサッと流してしまっている人も多いうんち。それが体調の指針になるとは、どういうことなのだろう。

 

「うんちは、口から入った飲食物が、食道、胃、小腸、大腸という長いトンネルのなかで、体内から分泌される唾液や胃液、消化酵素などによって消化吸収されたのち、おしりから出てくる残存物。水分と食べカス、そして腸内細菌が主な成分です」(梅原さん)

 

その過程で、うんちの色に重要な関わりをもつのが、胆のうから分泌される胆汁に含まれる黄色のビリルビンだ。これが腸内で正常に生成されていると、うんちは黄色みを帯びた茶色になるという。

 

梅原さんによれば、うんちをよく観察すると、主に7色に分類できるそう。その色でわかる病気のサインは次のとおり。

 

【黄褐色】

疑われる症状など:いちばん健康的な色。

原因および病気チェックのポイント:食事の習慣や腸内環境のバランスが整っている可能性が高く、腸のコンディションも正常で、理想的なうんちです。

 

【黄色】

疑われる症状など:脂肪の消化吸収不良、下剤の服用。

原因および病気チェックのポイント:食べすぎや飲みすぎなどで、脂肪の消化吸収がうまく行われず、下痢状の脂肪便となると、黄色になることがあります(白っぽくなる場合もある)。また下剤を服用したときも黄色くなる可能性があります。

 

【茶~こげ茶色】

疑われる症状など:便秘、脂っこいものや肉類の食べすぎ。

原因および病気チェックのポイント:脂っこいものや肉類の食べすぎで、腸内環境のバランスが乱れてしまっている可能性あり。食事のバランスに注意。また便秘の場合、うんちがこげ茶(濃褐色)になることがあります。

 

【赤~暗赤色】

疑われる症状など:痔など肛門疾患、大腸がん、潰瘍性大腸炎。

原因および病気チェックのポイント:いわゆる血便。直腸や肛門からの出血が混じると鮮血色、大腸の奥(盲腸や結腸)から出血すると暗赤色の便となります。肛門の疾患だけでなく、クローン病など炎症性腸疾患のほか、カンピロバクター、アメーバ赤痢などの感染症の可能性もあります。

 

【黒色】

疑われる症状など:食道、胃、十二指腸など上部消化管疾患、黒い食品や、鉄分を含むサプリメントの取りすぎ。

原因および病気チェックのポイント:食道や胃、十二指腸などから出血していると、血液が酸化することでうんちが黒くなっていることがあり要注意。ただし、イカ墨やヒジキなど黒色の食品を食べた影響や、体内に吸収されなかった鉄分が酸化して便が黒くなることもあります。

 

【白色】

疑われる症状など:肝臓・胆のう系の異常。

原因および病気チェックのポイント:うんちが白くなるのは、胆汁の分泌不足が原因です。胆汁をつくる肝臓、または胆汁をためておく胆のう系に異常がある可能性があります。

 

【緑~緑黒色】

疑われる症状など:サルモネラ食中毒、鉄分の取りすぎ、緑色の野菜の取りすぎ、胃腸薬の服用。

原因および病気チェックのポイント:サルモネラ食中毒のときに、うんちが緑黒色に変色する可能性があります。このほか、緑色の色素を含む食物の取りすぎや、銅クロロフィリンナトリウム配合の胃腸薬を服用すると緑色になることがあります。また体内に吸収されなかった鉄分がほかの食べ物と反応したりして、便が緑黒色になることもあります。

 

医師で東京家政大学名誉教授の中村信也先生は、次のように警鐘を鳴らす。

 

「最近、便が白くておかしいという患者さんを診察したところ、胆管にがんができていたことがありました。がんで胆管が詰まり胆汁が出なくなったため、便が白くなっていたのです」

 

うんちが極端な色をしていて気になるときは、病院で診てもらうことを中村先生は推奨する。

 

「自分の便の色が特に赤、黒、白の場合は、自己判断せず、内科で便の検査を受けましょう。便の色から病気がわかり、命が助かった人はたくさんいます」(中村先生)

 

ただ、最新式の洗浄機能があるトイレや、色のついた液体洗浄剤を使っている場合は、パッと見でうんちの色が把握しにくいこともある。確実にチェックするにはどうすればいいのかーー。

 

「シャワー機能でおしりを洗浄する前にトイレットペーパーでおしりを拭き、そこで観察するのがいちばん確実です」(前出・梅原さん)

 

じつは、梅原さんが「うんち栄養士」として活動するきっかけのひとつは、自身が栄養士になってから、祖母を胃がんで亡くしたことだったという。

 

「私がうんちを毎日しっかり見るように祖母に話していたら、うんちの色から、体の異変を発見できたかもしれません。だから、少しでも多くの人にうんちを毎日観察してほしいのです」(梅原さん)

 

「女性自身」2020年9月1日 掲載

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