コロナ禍でリスク高まる介護うつ、最善の対策は「相談」

身の回りのことは、全部自分で決めたい。そういえば、趣味が少ないほうかも……。思い当たるフシがある人は要注意! 介護によるストレスで、「介護うつ」になってしまうかも。回避のポイントは“頼る”ことだーー。

 

「現在のコロナ禍にあっては、とくに介護うつ発症のリスクが高いといえるでしょう。ただでさえ弱っている高齢の家族に万が一のことがあってはいけないと、外出や友人との食事を控えたりしているうちに、家に閉じこもって介護に向き合う時間が増え、逃げ場がなくなる。こうした傾向は、うつ病の発症につながります」

 

そう話すのは、高齢者の訪問診療に取り組む、つばさクリニック院長の鈴木智広先生だ。

 

介護うつとは、介護や看病からくる精神的な負担から発症するうつ病のこと。介護者の過半数が精神的負担を感じているのが現状だ。高齢化社会といわれて久しい日本において発症する患者はあとを立たず、介護、看病疲れが原因の自殺者は、今や年間200人以上にのぼっている。

 

「症状としては通常のうつ病と同じで、無気力になり、今まで楽しかったことが楽しいと感じられない、自責の念が強くなるなどの傾向が目立ちます。また、よく眠れなくなったり、食欲が落ちたりするケースも。原因は、介護によるストレスです。介護によって仕事を辞めたり、趣味の時間を減らしたりと生活を変えざるをえない方が多いかと思いますが、これは大きなストレスになりえます。また、つきっきりの介護で24時間気が抜けないような緊張状態も大きな負担になりますし、介護に関わる経済的な負担が原因で、気持ちが不安定になることもあるでしょう」

 

しかし、こうした過酷な状況であっても、介護うつを発症しない人がいるのも事実だ。そこにはどんな差があるのだろうか。

 

「生真面目で責任感が強く、すべてを一人で抱え込もうとする人は、追い詰められやすく、介護うつになりやすいといえます。いわゆる“ワンオペ介護”をしている人は、要注意です」

 

’17年に発表された厚生労働省の調査によると、夫婦のみの世帯では、配偶者の要介護度が重症化しても、施設への入所を検討していない割合が高いとの結果が出ている。つまり、妻、もしくは夫ひとりで介護を背負い込んでいる家庭が多いということだ。

 

住み慣れた自宅で夫婦で過ごしたいという思いのいっぽうで、介護する側にかかる負担が大きくなりすぎると、その生活自体が破綻してしまう危険もある。

 

「介護者が疲労から介護うつになり倒れてしまったら、介護をする人がいなくなってしまいます。本末転倒の結果を招かないためには、なにより介護する人自身の健康が重要です。適切な介護サービスを利用して負担を軽くするのもそのためだと考えれば、“甘え”とはならないことがわかるはず」

 

介護うつになりやすい人の特徴をチェックリストにまとめたので、自分が該当するかどうか、確認してみて。

 

【介護うつ危険度チェックリスト】

□ 生真面目
□ 融通が利かない
□ 責任感が強い
□ 完璧主義
□ 趣味がない
□ 自分でなんでも決めたい
□ 近親者にうつ病になった人がいる

 

「介護うつにならないためには、誰かに相談すること。相談相手として、いちばん身近なのが高齢者福祉のスペシャリストであるケアマネジャーです。要介護認定を受けると、介護サービス利用のサポートをしてくれますが、実務的なことだけでなく、介護にあたって不安に感じていることを包み隠さず相談してみましょう。訪問診療をしていると、ケアマネジャーから『介護しているご家族が、かなり疲弊されています』と連絡があり、施設への入所やショートステイを案内するケースがあります。自身では判断ができなくても、身近で見ているケアマネジャーが気づいてサポートしてくれるのはよくあること。ふだんから、なんでも相談できる関係を築いておくことが大事です」

 

介護の負担が減ればそのぶん自分のために使える時間が増え、気持ちを休めたり、趣味に時間を費やしたりして、ストレスの解消ができる。それが結果として、介護うつ発症の回避につながるのだ。

 

「介護をひとりで抱え込んでいる方は、まず市区町村の役所の介護担当部署に相談することからスタートを。また、地域の医療や福祉などを支援する『地域包括支援センター』では、介護認定を受けていなくても相談ができます」

 

介護を受ける家族のためにも、助けを求める勇気を持とう。

 

「女性自身」2020年9月22日 掲載

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