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「今年はコロナ禍により、多くの人が家にこもりがちになりました。食事量は変わらない、むしろストレス解消のために過食気味になっているのに、運動量は減り、体重が増加した人も多いでしょう。摂取カロリーが増え、家飲みなどで酒量が増えると、高血圧になるリスクが高まるのです」

 

そう警鐘を鳴らすのは、“Dr.血圧”として名高い、高血圧を中心とした循環器病の専門医・渡辺尚彦先生。渡辺先生自身、87年8月より連続して携帯型血圧計を装着し、以来、365日24時間血圧を測定し続けている、いわば血圧のエキスパートだ。

 

「自律神経が血圧をコントロールしていることもあり、血圧はメンタル面とも密接な関わりがあります。コロナ禍でいつもと違う物々しい状態だというだけで、人はストレスを感じ、平時よりも血圧が4~5mmHg上がってしまうものなのです」(以下「」は渡辺先生)

 

これから季節は年末へと向かい、寒くなっていく。気温が下がると、体温を保つために血管が収縮して、血圧は上がりがち。より注意が必要な季節に突入していくのだ。

 

令和最新の「高血圧治療ガイドライン2019」によると、高血圧の基準値は、病院の診察室などで測定した場合は140/90mmHg、家庭で測定した場合は135/85mmHg以上としている。渡辺先生はこのガイドラインを受けて、75歳未満の人は125/75mmHg、75歳以上の高齢者の人は135/85mmHg以上を高血圧の目安とすると言う。

 

「新型コロナウイルスは血管の炎症に関連した症状を起こし、重篤化しますが、高血圧は糖尿病などと並んで、そのリスク要因のひとつに挙げられています。高血圧から脱却することは、今、コロナ禍を生きる私たちにとって、非常に重要なことなのです」

 

<正しい血圧の測り方>

 

【1】朝起床してから1時間以内の、食前、排尿後に測ろう。トイレをがまんしていると血圧が上がってしまうので注意。
【2】 これからの季節、温かい部屋に移動せす、寒くない程度の寝室で、座って測ろう。
【3】 タバコを吸う人は、測る直前に吸わないように。吸ったあとは確実に血圧は上がる。
【4】できれば、続けて2回測り、平均値を出すのが◎。時間がなければ1回でもOK。

【4】 夜測るときは、就寝前、排尿後に。夜はお酒やお風呂に入ることも多いので、朝がベター。
【5】 血圧計はできるだけ「上腕式」を使おう。より正確に測定できる。
【6】 夫婦で一緒に測って確認しあうのがおすすめ。つけ忘れ防止になる。

 

血圧を測ってこまめに記録していくと、より繊細に自分の体のケアができる。特に生活を変えていないのに、血圧が高い状態が続いたとしたら、体に異変が起こっているということだ。日頃から自分の血圧を把握しておこう。

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