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国民のじつに8割が一生のうちに一度は経験するともいわれる腰痛。寒さを感じる時季、悪化させないためには特に注意が必要ですーー。

 

厚生労働省研究班の調査によると、現在の腰痛の推計患者数は2,800万人。いまやれっきとした日本の国民病だ。

 

「寒くなると、腰痛を訴える患者さんが増えます。さらに新型コロナウイルスの感染拡大によって、その数が増加しているのです」

 

そう語るのは、鍼灸師の内田輝和さん。一般の患者はもとよりオリンピック選手やプロスポーツ選手などアスリートの体も見てきた内田さんによれば、未曽有のコロナ禍で過ごしたこの冬は、これまでになく腰痛を引き起こしやすいシーズンだったという。

 

「そのカギは“お尻の筋肉”にあります。腰痛は、脊柱起立筋という長い筋肉が冷えたり衰えたりすると、起こりやすくなります。脊柱起立筋とは、頭蓋骨から骨盤まで背骨に沿って長くついている筋肉ですが、そのうちの、腰回りの筋肉の部分を左右から支えているのがお尻の筋肉です。土台が弱くなると家が傾くのと同じで、お尻の筋肉が衰えると腰の筋肉を支えることができず、バランスを崩してしまいます。これが腰痛を引き起こすのです」(内田さん・以下同)

 

そんなお尻の筋肉を劣化させる原因が「冷えと運動不足にある」と内田先生は話す。

 

「新型コロナウイルスの流行によって腰痛患者さんが増えたのは、まさに運動不足と片寄った姿勢でいることが増えたためだと私は考えます。巣ごもりの生活の中で筋力が低下して腰痛になったというパターンです。もう1つは、在宅勤務による姿勢の悪化。台所に無理やりパソコンを持ち込んだり、ソファに座って仕事をすることで座り方も悪くなり、そこから腰痛になった方も少なくないでしょう」

 

そこに冷えが加われば、さらにお尻の筋肉は弱くなり、腰痛を起こしやすくなるという悪循環に。次のチェックリストで当てはまる項目がある人は要注意! お尻の筋肉の衰えが懸念される。

 

【お尻の衰えリスクチェックリスト】どれか1つでも当てはまったら要注意!

□ 掃除などで前かがみの姿勢になることが多い
□ デスクワークをしている
□ ソファに体を預けるようにして座ることが多い
□ トイレに行く頻度がほかの人より多い
□ 階段の上りがつらい
□ 車中心の生活をしている(運転する時間が長い)
□ 歩くとすぐに足が痛くなる
□ お尻にいつも、だるさや重さを感じている

 

運動不足や姿勢に気をつけるのと同時に、お尻の筋肉を取り戻すために効果的なのが、次の「うつぶせ足上げ」だ。

 

【うつぶせ足上げ】1回1分

(1)うつぶせになって、足を伸ばす。両手を軽く重ねて、あごを乗せる。
(2)つま先とひざをまっすぐに伸ばしたまま、片方の足をできる範囲で上げ、その状態を10秒間キープ。お尻と太ももの境目の筋肉に力が入っていることを意識する。
(3)10秒経過したら足をゆっくり下ろし、反対側の足も同様に上げ、10秒間キープ。
(4)10秒経過したら足をゆっくり下ろし、両足をくっつけた状態でお尻に力を入れて10秒間キープ。(1)〜(4)を2回繰り返して1セット。
※痛みなどがある場合は無理をしないようにしましょう。

 

「この体操のいいところは、お尻の筋肉だけでなく、脊柱起立筋も同時に鍛えられるところ。また、人によってお尻の筋肉には左右差がありますので、いざやってみると、上がりやすい足とそうでない足があるはずです。繰り返していくことで、両足を同じ高さまで上げられるようになるでしょう」

 

1回1分でできて、効果も実感しやすいので、スキマ時間に実践してみよう。コロナ禍と寒さが拍車をかけた腰の悩み。うつぶせ足上げで改善に努めよう!

 

「女性自身」2021年3月9日号 掲載

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