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「女性が訴える体のお悩みの1位は肩こり、2位は腰痛で、この傾向はもう何年も変わっていません。整体師として20年以上患者さんをみているうちに、これらの悩みを抱える人たちは背骨に問題を抱えているのではと考えるようになりました」

 

こう話すのは、鍼灸師、整体師の笠原章弘さん。最近はパソコンやスマホの長時間使用により、背骨がゆがみ、動きが悪くなってしまっている人が増えているという。

 

肩こりが起こるのは、肩の筋肉がこり固まって、筋肉内での血流が滞り、神経伝達が鈍くなるのが原因であることが多いとされる。筋肉が固まると、背骨も連動して動きが悪くなるのだという。

 

笠原さんは、肩こりと背骨の状態には密接な関係があり、肩こりを和らげるためには、まずは背骨を緩めることがカギだと指摘する。

 

「背骨は骨が結合してできており、骨と骨の間には椎間板があります。椎間板は柔らかく、クッションの役割をしていて、これが背中を蛇腹のように広げてくれるのです。この機能があるおかげで私たちは上半身を前屈、後屈、側屈と、広範囲に動かすことができています」(笠原さん・以下同)

 

ところが、パソコンの画面を見つめて同じ姿勢を長時間続けていたり、運動不足が慢性化したりすると、背骨を固定した状態が長時間続く。

 

「そうなると、背骨周辺の筋肉や椎間板も固くなります。それにより周辺の神経や血管が圧迫されますし、椎間板の柔軟性も落ちてしまいます。すると背骨も動きにくくなり、背中だけでなく肩の筋肉まで固まりやすくなるのです」

 

肩こりはこのような悪循環の連鎖で発生するわけだが、筋肉が固まると、全身のリンパ液などの体液の流れも滞るため、冷えやむくみ、頭痛、耳鳴り、めまい、腰痛、ひざ痛などほかの部位にも影響が及びやすくなるという。

 

「酸素不足も原因のひとつに挙げられます。姿勢が悪い人は肺が圧迫され、無意識のうちに呼吸が浅くなりがちですが、そのとき十分な酸素が体内に取り込めなくなっています。酸素は呼吸に必要なだけでなく、体内にたまった疲労を回復する役割も担っています」

 

スマホやパソコンの使用が過剰になると、そのぶん脳にも多くの酸素が必要となる。しかし多くの人は姿勢の悪い状態で呼吸が浅くなり、全身への酸素の供給量が不足するという真逆の状態に陥ってしまうのだと笠原さんは指摘する。体内の酸素が足りていないと、筋肉を修復するために必要な酸素量も不足してしまうことになるという。

 

「女性自身」2021年4月13日号 掲載

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