「22年前、私はひどい冷え症に悩まされていました。何かよい食べ物はないかと試していて、たまたま家にあったピーマン3個を夕食に食べてみたのがその効果に注目するきっかけでした」
こう話すのは、ピーマン胎座の薬理で特許証を取得している楠本季一さん。ピーマンを食べた晩、ふだんは足が冷たくて靴下をはいて寝ていた楠本さんが、足がホカホカして靴下を脱いでしまうほどだったという。
「驚いて、ピーマンの薬理効果について研究をはじめたのが、私とピーマンの出合いでした」
ピーマンの語源はフランス語で唐辛子を指す《ピマン》。見た目からもわかるように、唐辛子の仲間なのだ。
「唐辛子には『カプサイシン』という辛味成分が含まれていて、これが血行を促進し、冷え性などに効くことはよく知られています。じつはピーマンの胎座には、辛くない『カプサイシン系物質』が多く含まれています。そしてこの物質にはカプサイシン以上に血液循環を促進させる効果があり、冷え性を改善することがわかってきました」
胎座とは聞き慣れない言葉だが、ピーマンの内側にある白いわたと種と隔壁の部分を指す。カプサイシン系物質のほとんどがこの部分に含まれているのだとか。
楠見さん流の食べ方は簡単。ピーマンの胎座と果肉を分離させたら、電子レンジに入れ、500Wで3分間加熱するだけ。好みで醤油をつけるとおいしく食べられるという。残った果肉の部分は捨てずに炒め物やみそ汁の具にすると無駄にならない。
「食べたくなければ、種は捨ててしまってもかまいません。これを毎晩夕食時に3個分ずつ、半月ほど食べ続ければ、どんなにひどい冷え性の人でも改善がみられるでしょう」
ピーマンのわたに含まれるカプサイシン系物質の効用は、冷え性改善だけではない。
「顕著なのが鎮痛効果です。痛みを伝える神経伝達物質に作用して、頭痛や生理痛といった痛みを緩和してくれます。即効性がありますから、痛みが出たら、ピーマンのわたの部分を5個分、電子レンジで加熱して食べてください。痛みが和らぎ、その効果は約40時間持続します」
現在、楠見さんはツイッターを使ってこのピーマンわたの薬理作用に関する情報発信をしているが、「冷え性が改善した」という多くの声とともに、《喉の痛みが取れました》《子どもの熱が下がりました》《頭痛が改善しました》など、さまざまな反響が寄せられているそうだ。
「私も、熱っぽいなといったかぜの予兆があるときは5個分をいっぺんに食べるようにしています。以降、かぜで寝込んだことは一度もありません」
このほかにも、代謝の促進からくるアンチエイジング効果やダイエット効果など、ピーマンのわたの効果はさまざまだ。ピーマンの白い部分に秘められたおいしい効果、あなたもぜひ試してみては?
「女性自身」2021年4月27日号 掲載