■失った歯をカバーする3つの方法とは?
失った歯をカバーするにはブリッジ、入れ歯、インプラントの3つの方法がある。それぞれの特徴、メリット・デメリットを教えてもらった。
【ブリッジ】
失った歯のスペースに“ブリッジ(橋)”をかけるように連結した人工歯をかぶせる治療法。ブリッジをかけるために、失った歯の隣の歯を削る必要がある。
〈特徴〉
抜けた歯の両隣の歯を土台にして、連結した人工歯をかぶせる。人工歯の材質によって保険診療と自由診療のどちらかを選択できる。
〈メリット〉
固定式なので義歯でも違和感なく噛むことができる。
〈デメリット〉
ブリッジをかける位置によって、片側、または両側の歯を削る必要がある。
〈治療費の目安〉
保険診療:1本・2万円〜。
自由診療:1本・8万円〜。
「固定式なので違和感なく噛むことができますが、虫歯がなくても隣の歯を削らなければならないので、抵抗感を抱く人もいます。治療費は保険適用で2万円から。保険診療で使える素材は限られていて、銀歯か銀歯の外側を白い素材で覆うハイブリッドなどの方法がありますが、ハイブリッドは強度が低く、隣の歯を削る量が多くなるというデメリットがあります。見た目が気になるという人は、自由診療でセラミック素材のものを選ぶこともできます」
【入れ歯】
隣の歯に金属のフックをかけて、歯を補う「部分入れ歯」と、すべての歯を補う「総入れ歯」があり、部分入れ歯は1本からでも作ることができる。
〈特徴〉
保険診療と自由診療のどちらかを選択できる。
〈メリット〉
ほかの歯を削る必要はなく、一度で多くの義歯を入れることができる。
〈デメリット〉
毎日取り外して手入れをしなければならないので、手間がかかる。噛む力が弱く、違和感を覚えることがある。
〈治療費の目安〉
保険診療:1本・1万5,000円〜。
自由診療:1本・16万円〜。
「健康な歯を削るのでブリッジは抵抗がある、という方には入れ歯、インプラントの選択肢がありますが、インプラントよりも治療費が安いのは入れ歯です。毎日就寝前には入れ歯を外して、洗浄剤で洗うといったお手入れが必要なので手間はかかりますが、手術や健康な歯を削る必要がないので、当院で選択する人は多いです」
金属製のフックが引っかかるのが気になるという人には、ノンクラスプデンチャーという歯茎に装着するタイプの入れ歯がある。自由診療で1本約16万円から。
【インプラント】
インプラントは、歯の根元から顎の骨に、ネジのような器具を使い人工歯を埋め込む方法。顎の形など骨格によってこの方法が適さない人もいる。
〈特徴〉
失った歯の根元にある顎の骨に、ネジのような器具を使い、人工歯を埋め込む。プラスチックやセラミックの素材があるが、一般的には自由診療。
〈メリット〉
隣の歯を削らずに歯を固定できる。しっかりと強く噛むことができ、見た目も自然な仕上がりになる。
〈デメリット〉
手術が必要で治療期間が長い。多くは自由診療なので治療費は高額になる。
〈治療費の目安〉
自由診療:1本・50万円〜。
「自由診療なので1本約50万円以上かかります。安さを売りにしている歯科医院は大事な工程を省いている可能性があるので気をつけましょう。インプラントは隣の歯を削らなくても単独で歯を固定できますが、手術が必要で、治療期間は3カ月〜最長3年かかることもあります。また治療後は、インプラント周囲炎にかからないように定期的なクリーニングと検診が必要になります」
一度、歯の治療を始めたら元に戻すことは難しいので、事前に医師の説明をよく聞き、納得がいかないときはセカンドオピニオンを受けてもいいという。
健康で過ごすためにも、適切な治療をし、しっかり噛める歯をキープしよう。