「餅は餅屋」なんていうことわざもあるように、脳のことを聞くならやっぱり脳の専門家。今回、脳のプロフェッショナルがおすすめしてくれた、脳を健やかにしてくれる「健脳おやつ」を、ぜひあなたもご賞味あれ!
「おやつといえるかどうかわかりませんが、間食には、絹ごし豆腐を1パック、冷ややっこにして食べています」
そう、意外な“おやつ”を挙げてくれたのが、脳科学者の塩田久嗣先生。
「塩分の摂取を控えるため、調味料はかけず大豆そのものの味を楽しむことにしています」
豆腐には抗酸化物質である大豆イソフラボンが豊富に含まれる。
「大豆イソフラボンは、脳の血流をよくし、脳細胞自体の働きを活発にする働きのあるエストロゲンと似た物質。記憶力を高め、やる気を出す効果も認められているほか、アルツハイマー病の進行を止めた症例も報告されており、豆腐はたいへん脳によいといえます」
このほか、脳細胞を保護し、脳卒中の予防効果や記憶力・集中力アップ作用のあるアボカドもおすすめだという。
「アボカドをヨーグルトにまぜて、砕いたくるみをのせて食べるのが、私のおやつ。すべて脳によい食品のオンパレードですよ。もし甘味が足りなければ、はちみつを加えて召し上がるとよいと思います。また最近、米国ではビーツジュースを飲んだ人は認知症になりにくいというデータが報告され、脳科学者の間で注目されています」
ビーツは赤かぶに似た野菜で、そのジュースは日本でも市販されている。
そんな塩田先生の最新刊は『脳を活性! 1日1分 名作・名曲で健康音読』(池田書店)。
塩田先生がすすめるのは(1)大きな声を出す。(2)口を開けてしっかり歌う。(3)気持ちを込めて歌うの3つ。
「コロナ禍で、なかなかカラオケにも行きにくいですが、思い切り声を出して歌うことは、たいへん脳にいいんです。歌うことで、抑揚や感情をつかさどる前頭葉がフル回転。さらに、自分で出した声を耳からの情報として受け止める側頭葉や、それら全体のバランスを調整する小脳など、まさに脳全体が活性化します。それに加えて、歌うことの快感で脳内物質のドーパミンが分泌されるので、これまた脳を元気にしてくれます」
また口を大きく動かして声を出すことで、あごとのどが鍛えられる。特に「あ」段の音を大きな声で出すようにすると、口とのどの筋肉に適度な負荷がかかるそうだ。
「カラオケに行きにくい現状、歌うのにいちばん適した場所は家のお風呂です。お湯につかりながら、そらで歌える昔の歌謡曲や童謡を、近所迷惑にならない程度に、できるだけ大きな声で歌ってみてください。脳に昔の思い出がよみがえることも記憶力をアップさせる効果があり、たいへんおすすめです」